味いちもんめ 23
「煮物の味付けがおかしい。薄すぎる」と、ある客からクレームが来る。そんなハズはないと興奮気味の伊橋に、熊野はもう少し濃い目の味付けにしろ、と命ずる。「藤村」の味を守らなければいけないのでは、と不満気な伊橋に、熊野は「“藤村”の味を守ることは大事だが、少し譲歩すればすむことだったら、時には客の側に立つことも大事だ」と諭す。その翌日、機能の熊野の言葉が腑に落ちない伊橋は友達のガッちゃんに会いに茅ケ崎を訪れた。そこで、ある夫婦ゲンカに巻き込まれて……
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「藤村」の常連である“社長”は、今日のデザートが葛切と聞いて「実は…」と話し始めた。ある日、“社長”は、さる女性社長と、お茶を飲んで話すうちに、その言葉遣い、立ち居振る舞い、奥ゆかしさにすっかり魅了されてしまったと語る。その時のお茶受けに出されていたのが葛切だったという。この優雅な女性に対して、家の茶の間に寝そべって大判焼きを食べていた女房のガサツさを見て、腹が立ってケンカしてしまってから、まるで「葛切」と「大判焼き」の2つの食べ物が対照的であるように、あの女性と女房が対照的な存在に見えてしまう。そして、時には女房が疎ましくなることがあると“社長”は嘆くが……
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