味いちもんめ

伊橋は、新宿の料亭「藤村」に入ったばかりの新米料理人。料理学校を首席で卒業した自信から、洗い物やゴミ捨てなど雑用ばかりやらされる“追い回し(アヒル)”に飽き飽きしていた。伊橋の不満を聞いた立板の横川は、その腕前がどの程度のものなのか、追い回し歴3年の谷沢と「桂剥き」をやらせてみるが……

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  • 味いちもんめ 21

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    「藤村」の常連である“社長”は、今日のデザートが葛切と聞いて「実は…」と話し始めた。ある日、“社長”は、さる女性社長と、お茶を飲んで話すうちに、その言葉遣い、立ち居振る舞い、奥ゆかしさにすっかり魅了されてしまったと語る。その時のお茶受けに出されていたのが葛切だったという。この優雅な女性に対して、家の茶の間に寝そべって大判焼きを食べていた女房のガサツさを見て、腹が立ってケンカしてしまってから、まるで「葛切」と「大判焼き」の2つの食べ物が対照的であるように、あの女性と女房が対照的な存在に見えてしまう。そして、時には女房が疎ましくなることがあると“社長”は嘆くが……
  • 味いちもんめ 22

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    12億円もの契約がかかった大事な接待の場所に「藤村」が選ばれた。接待の相手は、経営の神様と言われた大谷電機の元・社長の大谷総一郎。大谷は、どんな料亭で接待されても必ずカツ丼を注文するのだという。この情報を得た熊野は、煮方の伊橋にカツ丼作りを任せる。責任の重大さを感じた伊橋は、昔「藤村」の立板だったが、現在は定食屋を開いている横川にカツ丼作りのコツを教わりに行くのだが……
  • 味いちもんめ 23

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    「煮物の味付けがおかしい。薄すぎる」と、ある客からクレームが来る。そんなハズはないと興奮気味の伊橋に、熊野はもう少し濃い目の味付けにしろ、と命ずる。「藤村」の味を守らなければいけないのでは、と不満気な伊橋に、熊野は「“藤村”の味を守ることは大事だが、少し譲歩すればすむことだったら、時には客の側に立つことも大事だ」と諭す。その翌日、機能の熊野の言葉が腑に落ちない伊橋は友達のガッちゃんに会いに茅ケ崎を訪れた。そこで、ある夫婦ゲンカに巻き込まれて……
  • 味いちもんめ 24

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    「藤村」に新しく入った京子。仲居見習いとして、ベテランの仲居・岩田の指導のもと働いている京子だが、慣れないためか失敗も多い。下足番をしているときには特に失敗が多く、帰りの客の靴を岩田のように、間違えずに素早く出すことができない。自信を失いかけ、下足番なんて絶対にイヤ! と、グチをこぼされた伊橋は、自分の京都「登美幸」での経験を話して聞かせる
  • 味いちもんめ 25

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    小つるの兄弟子にあたる鶴吉が師匠の円鶴から突然「(今後一年間)都内で落語を語るこたァ 一切許さねぇ!!」という“一年間の江戸払い”の宣告を受けてから一年。今日の高座がうまくいかなかったら、また“江戸払い”になってしまうのかも? と伊橋に相談する小つるは、兄弟子の鶴吉が心配でならない様子。しかし、円鶴師匠が鶴吉に課した苛酷な仕打ちにも弟子を大きく育てようとする深い考えがあったのだ
  • 味いちもんめ 26

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    全国の競馬ファンが注目するビッグレース“日本ダービー”。その前夜、「藤村」に常連客の社長が桜肉を持って現われた。明日のダービーに勝つために縁起を担いで、みんなで桜肉を食べようというのだ。ところが、ボンさんだけが箸をつけようとしない。実は、ボンさんには桜肉にまつわる悲しい思い出があったのだ………
  • 味いちもんめ 27

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    「藤村」と同名の料亭が東京・四谷にできた。店にとって同じ名をつけられるのも、あまり好ましい事ではないが、問題なのはこの店が本家「藤村」の評判を借りて商売に利用しているらしいということだった。ある日、伊橋は書店で偽「藤村」が掲載されている記事を見付けた。その説明には堂々と新宿「藤村」の姉妹店と紹介されていた。これに驚いた伊橋は、早速、四谷の偽「藤村」に抗議に飛んで行ったのだが………
  • 味いちもんめ 28

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    今日も「藤村」に、常連の社長と円鶴師匠が来ていた。しかし、ここ2か月前からこの二人以上に「藤村」へ毎日のように通ってくる客がいた。しかも、若い女性。でも、特別酒が好きなようなようにも見えない。その女性がなぜ「藤村」に通ってくるのか気になる伊橋。どうやら、彼女は誰もいないマンションへ帰るのが寂しいようなのだ。常連が増えるのはありがたいことだが、寂しさを紛らわすために「藤村」で酒を飲んでいるこの女性のことが心配になってきた伊橋は、ある考えをひらめつく……
  • 味いちもんめ 29

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    伊橋は、将来を嘱望される若手料理人の会・「研鑽会」で冬瓜料理をつくることになった。しかし本番前の予行演習で、大料亭の息子の立原らに仕組まれ冬瓜料理に失敗してしまう。腹を立てた伊橋は、なんとか本番では立原に勝とうと練習を重ねるのだが……
  • 味いちもんめ 30

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    暮れも押し迫り、忘年会シーズンで「藤村」も大忙し。そんなある日、近くの高校の教師達が「藤村」を訪れた。「生徒の学力だけを判断基準にせず、個性の尊重を大切にした教育をしよう」と熱弁をふるう教頭先生の言葉に感動する伊橋。しかし、その教頭先生に杉板焼きスダチ添えを出すと、「焼魚にはカボスが一番だ」と文句を付け始めた。「あいにくカボスは切らしている」と言っても「何とかしろ」と教頭先生は引かない。それを見ていた親父さんは…
  • 味いちもんめ 31

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    回転寿司が大流行のこの頃、でも伊橋は「あんなものは寿司屋じゃない」と言ってはばからない。そんなある日、「藤村」に天プラばかりを注文し、何を話し掛けても「放っておいてくれ」という客が現れる。そのお客に文句を言う伊橋を、親父さんは食事に誘う。でも親父さんが伊橋を連れて行ったのは、回転寿司屋だった! その目的は…
  • 味いちもんめ 32

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    伊橋のもとに、京都の料亭「花家」に勤める清から電話がかかってくる。なにやら切羽詰まった様子で、“「花家」を辞めることになるかもしれない”と言う。追い回し時代、一緒に修業をしたこともある清の言葉に、伊橋はすぐ京都へ向かうのだが……
  • 味いちもんめ 33

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    “藤村”に、ある田舎ホテルから助っ人の依頼が舞いこみ、伊橋と東がでかけることになった。そのホテルに着いた伊橋は、料理の献立を見てビックリ! 刺身、ステーキ、酢豚など、和洋中ごちゃまぜだったのだ。「バラエティーに富んでいるほうが客受けがいいから」というのがその理由なのだが、伊橋はどうも気にくわない。結局、洋食と中華を東が、和食は伊橋が担当することになる。気が進まないながらも手を抜かず料理する伊橋だったが、お客さんの反応はイマイチで……

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