さよなら恋人、またきて友だち ~宮内ユキについて~(2)
【本能に抗えないα(アルファ)、こんなカラダならいらない。】弟のカナエが誕生する時、ユキの母親は命をかけた。父が反対しても頑なに産むことを貫き通した母の姿勢はユキに多大な影響を及ぼした。カナエに身篭らせてしまった自分の子供を生かしたい。弁護士の鳴海(なるみ)はそんなユキに手を差し伸べ、息子のルカと共に歩む人生を用意する。その幸せはユキを鳴海に対する自己犠牲へと駆り立てていく。誘拐された鳴海の弟を巡る軌跡、第2弾。
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“自分が不幸でいることで、自分は幸せになれる。”
“大好きな相手が辛いことで、安らぎを覚える。”
幸せと不幸せについて、こんなにリアルに向き合ったBLがあっただろうか。ドロ沼地獄BLが好きな人は1作目から一気に読んで欲しい。
1作目『さよなら恋人、またきて友だち』
2作目『さよなら恋人、またきて友だち~ロスト・チャイルド~』
この続きで長編の本作は、幸せと不幸についてがテーマ。
カナエの兄、宮内ユキが、弁護士の鳴海に救ってもらったお礼に鳴海の失踪した弟を探すため、人身売買組織に体を売りながら過ごす中で
描かれる各々の「幸せ」。
一方から見ると幸せで、もう一方から見ると不幸せであっても、それは彼らにとって確実に正しいものである。
誰もが自分の幸せを押し付けて他人を不幸にし、他人に幸せを押し付けられて不幸になる。
各キャラクターの幸せについて追ううちに、読み手の自分の幸せについても深く考えさせられてしまう。
また、ユキのセリフに「不幸であってもごはんはおいしいし、楽しいと感じる瞬間もある。なんで悲しみだけで自分をいっぱいにできないんだろう。」という印象深いもの がある。
人間とは、どんな状況でも幸せを拾えるようにできているのかもしれない。
この作品のキャラクターが全員幸せになれるように、ただ願うばかりである。
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