さよなら恋人、またきて友だち ~宮内ユキについて~

【どうか救って欲しい】誘拐された弟を探す鳴海(なるみ)、そんな彼にユキは身体を売ってでも尽くし続ける。――“「救済したい」その想いが向かう先。” 弁護士・鳴海のもとに身を寄せるユキと息子のルカ。平穏に見える3人の暮らしには、悲しみが影を落としていた。誘拐されたまま行方が知れない鳴海の弟・春人(はると)。消息を求めて奔走する鳴海をなんとか支えたいと願うユキ。ユキは手掛かりを掴む為に自らの身体で男達を誘惑する。彼の献身的に尽くす姿に鳴海は罪悪感を募らせていく。 自らをΩと偽って、身体を売るα。誰が救いたくて、誰が救われたいのか。ロスト・チャイルドから続く、シリーズ最新刊。 ※本作品はアンソロジー『オメガバース プロジェクト-シーズン5-』シリーズにて、連載された作品をコミックス化したものです。重複購入にお気をつけ下さい。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

“自分が不幸でいることで、自分は幸せになれる。”
“大好きな相手が辛いことで、安らぎを覚える。”
幸せと不幸せについて、こんなにリアルに向き合ったBLがあっただろうか。ドロ沼地獄BLが好きな人は1作目から一気に読んで欲しい。

1作目『さよなら恋人、またきて友だち』
2作目『さよなら恋人、またきて友だち~ロスト・チャイルド~』
この続きで長編の本作は、幸せと不幸についてがテーマ。
カナエの兄、宮内ユキが、弁護士の鳴海に救ってもらったお礼に鳴海の失踪した弟を探すため、人身売買組織に体を売りながら過ごす中で
描かれる各々の「幸せ」。
一方から見ると幸せで、もう一方から見ると不幸せであっても、それは彼らにとって確実に正しいものである。
誰もが自分の幸せを押し付けて他人を不幸にし、他人に幸せを押し付けられて不幸になる。
各キャラクターの幸せについて追ううちに、読み手の自分の幸せについても深く考えさせられてしまう。

また、ユキのセリフに「不幸であってもごはんはおいしいし、楽しいと感じる瞬間もある。なんで悲しみだけで自分をいっぱいにできないんだろう。」という印象深いもの がある。

人間とは、どんな状況でも幸せを拾えるようにできているのかもしれない。
この作品のキャラクターが全員幸せになれるように、ただ願うばかりである。

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