アルキメデスの大戦(20)
日米和平協議も、残すところあと1回。米側の案内でニューヨークを訪れた日本大使一行は、世界一の都市の圧倒的経済力と、ニューヨーク市民の強い反日感情を目の当たりにする。このまま交渉をまとめる「画期的アイデア」を思いつかなければ、開戦は必至。
「大和」は戦争に使われてしまう。櫂は自らが生み出した矛盾に苦悩する‥‥。日本一の天才が悩みに悩んで導き出した驚愕の提案に、日米驚愕! 会議激震! の第20巻!!
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映画化
「アルキメデスの大戦」
2019年7月26日公開
出演:菅田将暉、浜辺美波、柄本佑
スタッフおすすめレビュー
※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい
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1933年の日本海軍を舞台にしているのに、主人公のファーストミッションは「超巨大戦艦建造費用の見積もりの調査」というもの。読み始めたときは正直、「え、地味すぎないか?」と思いました。建造費用がどうこうって裏方のさらに裏方の話じゃないですか、と。
しかし、読み進めていくと、自分の浅はかさを思い知らされます。まず、主人公・櫂直がかっこよすぎる。東京帝大中退の数学の天才で、英語・仏語・独語もペラペラ、しかもイケメンで女性にもモテるんです。
戦艦に関する知識はゼロという状態で、海軍省経理局という超絶アウェイにいきなり放り込まれて、数学の才能一本で真実を解き明かしていく――そんな下剋上ファンタジスタぶりを見せつけられるだけでも痛快で面白いのに、国防や戦争が抱える矛盾、上層部の軍人たちの曲者ぶりなど、読者を唸らせる要素がたっぷり盛り込まれています。
さすが、庵野秀明氏、かわぐちかいじ氏、秋本治氏が帯に推薦コメントを書いているだけあります……! このお三方の並び、信頼感しかないですよね。
正義感が強く平和を愛する櫂が、新型戦闘機を開発するなど、図らずも戦争の要となる技術戦略畑に深く関 わるようになっていく様が、物語の面白さであると同時に、戦争に向けて動き始めた世界からは誰も逃れられない……という恐ろしさを物語っているようでもあります。『ドラゴン桜』(講談社)や『インベスターZ』(コルク)を世に送り出した三田紀房先生ならではの、“面白くて考えさせられる”作品です!
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