バロック~歪んだ真珠~ 10
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「きみは金で買われた花嫁なのだよ」時は大正、時代は男性優位で女学生達の関心はもっぱら自分がどれ程地位のある殿方に貰われるかという事。そんな中私だけが結婚に興味がなく、子供の頃から兄妹の様に育った使用人の吉也と共にいつまでもいたいと願っていた。けれどその願いは叶えられない。突如として現れた地方の成金財閥、清瀬川公司郎。彼が私の許嫁だという。私は金で売られていた。十六年間誰にも触れさせた事の無い肌を無理矢理開かれ、この日から私の地獄は始まった。公司郎だけでなく、舅や義祖父までもが私の躰を弄び…私は堕ちた…。吉也…私は汚されてしまったの…。※この作品は【危険恋愛M】vol.92でもお読みになれます。 -
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何もかも終わりだ。プライドも貞節も力ずくで奪われ、私にはもう何も残ってはいない。地獄だ。しかし、それはまだ地獄の始まりに過ぎなかった。「早く跡継ぎを」の口実の元、昼も夜も奴隷の様に奪われる躰。その度に心の中で初恋の吉也に詫びながら、それでも私は耐えていた。けれど、奪われ続ける私を狙っていたのは公司郎だけではなかった。舅である義父が…そして義祖父迄もが…。その男達の欲望に気付いてか姑にも酷く羞恥的な嫌がらせをされ、この家には私の味方は誰もいない。助けて、吉也…!だがその頃、吉也にも縁談の話が持ち込まれていた事を、私はまだ知らなかった…。※この作品は【危険恋愛M】vol.94でもお読みになれます。 -
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清瀬川家に嫁いで数ヶ月が経った。相も変わらぬ姑からの厳しい躾。夫から毎夜のように受ける辱め。慣れようとするが慣れる筈もなく、ただ、耐えるだけだ――…。それは、嫁いだ当初よりもある意味、厳しくなってきた。姑を始め、舅、さらには夫の祖父までが毎日のように「子宝はまだか」と責め立てる。愛の無い夫の子供など――…。そんな私に夫の祖父の手が伸びる。「自分が種をつけてやろう」この家は、獣の集まりだ。こんな家で獣の子を身ごもるくらいなら、死を覚悟してでも、愛する吉也と二人、いっそ何処かに――……! ※この作品は【危険恋愛M】vol.96でもお読みになれます。 -
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これ以上耐えられない。こんな地獄の日々から逃れるにはもう、死ぬしかない。そう思い、崖から身を投げた。だが、死ぬこと叶わず、またも呪わしい清瀬川の家に連れ戻されてしまった。怪我が治ると、夫に社交の場に連れ出された。久々の華やかな場所に心躍るも、衆人監視の中受ける辱め。これは罰なの?そしてまた家に戻れば行われる「孕みの儀式」。心さえ無くしそうな日々の中、私はある事に気付いた。夫が私を抱かない。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.98でもお読みになれます。 -
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舅、義祖父の二人に凌辱された夜から、夫、公司郎は私の身体に触れなくなった。あんなにも激しく、毎夜のように求めてきたのに……。なぜ夫は私の身体に触れないのだろう?舅と義祖父に汚された身体にはもう興味が無いのだろうか。どうして――…。何とも言えない不安が襲う。あんなに嫌だったのに、触れられなくなると私の身体は――…。疼く――…。こんなこと…してはいけない。そう思うのに…指が…勝手に……※この作品は【危険恋愛M】vol.100でもお読みになれます。 -
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かつての乳兄妹で幼馴染の吉也との仲を夫、公司郎に疑われ、私はますます清瀬川の家で孤立していく。夫に触れられる事もなく、姑の嫌味に耐え、やがてまた舅や義祖父にいたぶられる日が来るのだと、絶望すら越えた心持ちでただただ空虚な日々を送る中、一通の手紙が届いた。それはかの人、吉也からの手紙だった。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.103でもお読みになれます。 -
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禁を犯した。私はついに、吉也との一線を越えてしまった。夫のある身でありながら、私は何という女になってしまったのだろう…。でもこの地獄のような暮らしの中に私の居場所はなく、吉也との逢瀬だけが唯一、生きる悦びだった。そしてそれは吉也も…。吉也となら、あの清瀬川の家を出て、何処か誰も知らない場所に行くことが出来るかもしれない。何もかも捨てて逃げたい、吉也と――…。※この作品は【危険恋愛M】vol.105でもお読みになれます。 -
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私が吉也との密会を重ねていた間、夫にこんな女ができていた事に、私は全く気が付いていなかった。しかもお腹に子供までいるなんてーー…。その時私が取った行動は、自分でも信じられないものだった。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.107でもお読みになれます。 -
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私は、変わった。自分でも驚くほどに、強くなった。私は自らの女の魅力と出自を最大限に活かし、徐々に清瀬川の家の中でも発言権を得ていく。そして月に一度の呪われた儀式の晩、私はついに、それまで言えなかったことを言ったのだ。※この作品は【危険恋愛M】vol.109でもお読みになれます。 -
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待ちに待った吉也からのしらせ。なのに、私の心は揺れていた。吉也としばらく会わぬ間に、夫・公司郎との間に生まれた絆。この家に、私と同じ苦しみを抱えた夫を一人残していくのは…。けれど初恋の吉也のことも、今でも愛している。密会を繰り返したあの船宿で、吉也は私を待っている。※この作品は【危険恋愛M】vol.111でもお読みになれます。 -
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妊娠?私が?一体誰の…。子供の父親候補は四人。夫・公司郎、お義父様、お義祖父様、そして吉也…。誰の子か全く判らないこんな状況でも、私の本能は産みたがっている。けれど…もしこの子が夫の子でなかったら、それでもこの子を産むべきなのか……? -
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妊娠?私が?一体誰の…。子供の父親候補は四人。夫・公司郎、お義父様、お義祖父様、そして吉也…。誰の子か全く判らないこんな状況でも、私の本能は産みたがっている。けれど…もしこの子が夫の子でなかったら、それでもこの子を産むべきなのか……? -
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私が開いたサロンという名の高級娼館に、かつて夫・公司郎の子が出来たと偽り、家に乗り込んできた夜の女、志乃が、再び前触れもなくやって来た。一体、何の用があると…。戸惑う私に、志乃は意外な提案をしたのだった。 -
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大正十二年、九月。その数ヶ月前、志乃さんが元気な女の子を出産した。志乃さんに名付け親になって欲しいと頼まれ、私は自分の産めなかった未来を赤ん坊に重ね、「希望子(きほこ)」と名付けた。そして…九月一日、東京に大震災が起こった。 -
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それは未曾有の大災害だった。娼館にいる志乃たちは無事なのか。希望子は…!矢も盾もたまらず、押し留めようとする両親の反対を振り切って実家を後にした私は、まさかその時、公司郎が私の身を案じて私の実家に向かっていたとは、思いもしなかったのだ…。 -
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やっと逢えた。何度も何度も逢いたいと願った愛しい人。でも…公司郎様は私と高階のおじ様の仲を誤解し、私も言い訳はしなかった。もう戻らない。そう心に決めたのだから。 -
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ようやく気持ちを確かめ合った私たちは、復縁を家族に告げるため、手に手を取って街に戻った。…だがそこで見た物は、焼け爛れ、貧しい者が家財を無くし逃げ惑う、見るも無残な帝都の姿だった。大正大河グランドロマン、遂に完結! -
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これは真珠子たちが生まれる更に数年前の話。公司郎の母「聖(きよ)」が娘だった頃、時代はもっと女が生き難い世の中だった。 -
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今度こそ幸せになれると思った。けれど神はなんと残酷か。私はもう神なぞ信じない――。これは激動の時代を生き抜いた二世代に渡る女達の物語。そしてまた、時代は巡る――…。『バロック~歪んだ真珠~』番外編完結!
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