同じ月を見ている 5
エミの気持ちがドンにあることを知った鉄矢は、エミを無理矢理教会に連れて行き、自分と結婚して一緒に生きていくことを誓わせようとする。一方、ドンは自分と兄弟の杯を交わした金子の元を離れ、ひとり東京を目指し、歩き続けていた。そして、その後を追ってきた金子に、ドンはなぜ東京に向かうのか、その目的を静かに語りだすのだった…。
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愛とはいったい何なんだろうか。
ドンは純粋で人を疑うことを知らない。そんなドンと同級生だった鉄矢は、アメリカ大使の病弱な娘エミと出会い、3人で遊ぶようになる。鉄矢はエミに惹かれるが、エミは純心で不思議な魅力を持つドンに惹かれていく。だがある夜、鉄矢が悪友と焚火をしていたところ、その火が木々に燃え移り、森の中にあったエミの家にまで延焼し、エミの父が死んでしまう。その一部始終を見ていたドンは、鉄矢の罪をかばって少年院に入る。それから2年後、ドンはエミとの二十歳の約束を果たすために少年院から抜け出す。ドン脱走の知らせを聞いた鉄矢の猜疑心は止まるところを知らず……
Khaki「違う月を見ていた」という曲がある。このマンガが好きなメンバーが、言葉を全部逆にして曲のタイトルにした。このマンガのタイトルがエミとドンの関係を表すのだとしたら、この歌はエミと鉄矢の関係を表しているように思う。相手を自分のものにしたいと強く願う愛情では、同じ月は見られない。ドンのように相手の幸せを純粋に願うことで、初めて同じ月を見ることができる。鉄矢もそんなドンに感化され、変化が現れる。嫉妬と劣等感に飲み込まれた鉄矢が 「違う月を見ていた」と過去形で語る変化を見届けてほしい。
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