同じ月を見ている

ある夜、ひとりの少年が1本のペンを手に、少年院から脱走した。その男の名は水代元。2年前のある忌わしい事件の犯人として捕まり、少年院に収容されていたのだ。元は、幼い頃から絵を描くのが好きで、人の心の中に浮かんでいることを絵にできる不思議な少年であった…。数えきれないほどの不幸を背負いながらも、全身全霊で真実の愛を貫き通す男・ドンが見せる、切ないほどたくましい青春像!!

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スタッフおすすめレビュー

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愛とはいったい何なんだろうか。
ドンは純粋で人を疑うことを知らない。そんなドンと同級生だった鉄矢は、アメリカ大使の病弱な娘エミと出会い、3人で遊ぶようになる。鉄矢はエミに惹かれるが、エミは純心で不思議な魅力を持つドンに惹かれていく。だがある夜、鉄矢が悪友と焚火をしていたところ、その火が木々に燃え移り、森の中にあったエミの家にまで延焼し、エミの父が死んでしまう。その一部始終を見ていたドンは、鉄矢の罪をかばって少年院に入る。それから2年後、ドンはエミとの二十歳の約束を果たすために少年院から抜け出す。ドン脱走の知らせを聞いた鉄矢の猜疑心は止まるところを知らず……
Khaki「違う月を見ていた」という曲がある。このマンガが好きなメンバーが、言葉を全部逆にして曲のタイトルにした。このマンガのタイトルがエミとドンの関係を表すのだとしたら、この歌はエミと鉄矢の関係を表しているように思う。相手を自分のものにしたいと強く願う愛情では、同じ月は見られない。ドンのように相手の幸せを純粋に願うことで、初めて同じ月を見ることができる。鉄矢もそんなドンに感化され、変化が現れる。嫉妬と劣等感に飲み込まれた鉄矢が 「違う月を見ていた」と過去形で語る変化を見届けてほしい。

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