菌と鉄(1)

人類はキノコに支配されていた。脳に寄生することで自由を奪い、思考を奪い、菌類は徹底した管理社会を築き上げた。
しかし、ここにイレギュラーが存在する。最強の兵士・ダンテは、ひとりの少女との出会いをきっかけに、この世界の理を覆す決意をした。
さあ。絶望の底から、叛逆をはじめよう。

『進撃の巨人』諫山創が惚れ込んだ、新たな’’絶望’’と’’抵抗’’の物語。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

舞台は「アミガサ」という世界政府によって人類が支配・管理されている、ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』を彷彿とさせるディストピアな世界。
人々は限られたエリアで決められた食事を与えられ、行動や思想を制限され、感情すらも制御される中、主人公のダンテだけが異質でした。

失読症なこともあってか、彼は周りのように同一の行動・同一の思想に染まることがありませんでした。
「危険思想」とみなされるダンテの行動でしたが、身体的能力の高さと失読症であるが故に見逃され処刑されることはなく厳罰で済んだのです。

D-18という領域でしか生きたことのないダンテは、ある日領域外に出て反乱組織「エーテル」を撃滅するという極秘任務に配属されます。
初めてエリア外に出るのでワクワクするダンテですが、待ち受けていたのは菌類に覆われた世界でした。
ほぼ部隊が全滅する中、ひとりだけ生き延びたダンテは女性区から来た「エーテル」一派の少女アオイと出会います。
彼女の
「自由な考えも会話も許されないなんてどう考えてもおかしいじゃない!」
という一言でダンテは自分の今までの違和感の理由を知ります。

彼女との再会を誓いエリアに戻るダンテでしたが、彼の帰還はアミガサにとっては予定外の出来事でした。
拷問を受けるダンテを待ち受けていたのは、「脳菌糸」を寄生させるというものでした。
なんとアミガサタケを脳に寄生させることで自由を奪い、思考を奪い、菌類は徹底した管理社会を築き上げていたのです。

通常なら思考を奪われるハズのダンテでしたが、奇跡的に支配を免れることに成功します。
更に脳のアミガサと金属を合成させるメタルカプセルを取り込むことで「エーテル」の戦士となったダンテ。
予定調和の世界で、異分子として覚醒します。
彼はこの世界で誰にも支配されることなく、世界を変えることができるのでしょうか。

作品内容紹介に
『進撃の巨人』諫山創が惚れ込んだ、新たなる"絶望"と"抵抗"の物語。
とありますが、先が見通せない物語設定に、少々粗さがある絵柄とコマ展開など、確かに『進撃の巨人』がはじまった当初を彷彿とさせます。

菌類がどうして人間を支配するに至ったのか、アミガサの目的とは?
更に菌類に対して鉄の力でどう人間は立ち向かうのか。
まだまだ謎が多い今作、今後それらの謎が徐々に紐解かれていくのではないかと期待しています。

“絶望”からはじまる物語は未だに注目度が高いジャンルです。
絶望からはじまるからこそ、そこからの成長が引き立ち、生きる意味・立ち向かう尊さを感じられるのだと思います。
この作品が新たな“絶望スタートの物語”の柱となってくれるのではないでしょうか。

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