環と周【単話】 4

終戦直後、戦地から戻ってきた周は、絶望して首を括ろうとしていたところをかつての上官・環に救われる。環はヤミ市で経営する自分の店を手伝うよう周に頼むのだが――。さまざまな形で私たちの間に存在する、“好き”を繊細に描き出すオムニバス集、第4巻。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

娘の交友関係に揺れる夫婦、女学校の同級生の和やかな友情、
アパートの住人同士のささやかな交流…
この物語に描かれるのは、そういったどこにでもいそうな人々のすれ違いと触れ合いです。
しかしそこは名手・よしながふみ先生。
「マンガが……うまい……」としか言えなくなる心憎い間合いと展開力で
唯一無二の人間ドラマに仕上げています。
生きた時代も性別も状況も違う登場人物の共通点は「環(たまき)」と「周(あまね)」という名前。
時間の流れやめぐり合わせといった言葉を連想させるところがまた素敵です。
よしなが先生はこの作品で時代を超えた、
名づけえないけれどかけがえのない関係性を描きたかったのでは!?と思ってしまいました。

貫録の筆致で描かれる、シンプルなのにとびきりおいしいごちそうのような作品。
オムニバス形式なので、あらすじで気になったものから読んでみるのもいいかもしれません。
ひとりでも多くの方に味わっていただきたいです。

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