霧神島(1)

※本作は雪野みなとの個人誌作品の電子書籍版です。【フルカラー23ページ】

その島には古くから続く因習があった。

その昔、島に謎の瘴気が発生し、
島民は病に冒され多数の死者が出たという。

島の宮司は島民に忘れられた
山に住まう霧の神の怒りだと言った。

島民が宮司に従い、島の娘を一人選び
神の生贄に捧げると瘴気はぴたりと止んだ。

島民は宮司に感謝し、言いつけ通り
五年に一度生贄を捧げる儀式を続けた。

また、神を畏れ敬いその存在を忘れないため
その島は「霧神島」と名付けられた。

現在も「神納の儀」と呼ばれる生贄の儀式は
島民にとっては当然のこととして執り行われている。

しかしその儀式は神聖なものとされ、
殆どの島民は儀式の内容を知らされていない―――

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