とみ新蔵・初期名作選 3~女郎始末記~
明治以前…三州田原城の城南丘陵の一隅に奇妙な石があった。何気なく見ていればなんの変哲もない細長い石としか見えないのだが、よく見れば見るほどそれは…奇怪に身をかがめた女の立ち姿を思わせたという。その昔…愛し合う二人がいた。だが共に貧しい二人であった。男は一旗揚げるために村を出た。一年、二年、女は待ち暮らし…三年、四年と女は泣き暮らし…翌年なんとか諦めようと決意したのもつかの間、村中を襲った野伏の群れに日夜犯されたその挙げ句、女郎に叩き売られたのだ……。(表題作より)
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