狂四郎2030 13
西暦2030年。電子管理センターに行政監察官・二条ひかるが赴任する。汚職役人の死刑執行人・ひかるは、日本を支配するゲノム党総統・二条憲政の息子だった。さらにもう一つの顔が。ひかるが作ったリアルゲームのような島「アルカディア」の首相・ユウキだった。
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スタッフおすすめレビュー
※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい
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これほど人に勧めにくい名作があるだろうか。なぜなら、とにかく品がないのだ。セックスシーンが終わったと思ったら下ネタ、下ネタが終わったらセックスシーン、セックスシーン中に下ネタ…という具合に。だが、本作はそんなおふざけもかき消されるほどディストピアな世界観だ。第三次世界大戦が終わり、優生思想に支配された日本では、特権階級以外は男女が隔絶され、奴隷のように働かされていた。そんな世界では、バーチャル上でしかセックスができなかった! 主人公の狂四郎はバーチャルの相手・志乃に本気で惚れてしまう。なんと志乃はバーチャルキャラクターではなく、実在した。それを知った狂四郎は彼女に会おうとするが……。
一見、お下劣SFマンガだと思われてしまうが、優生思想の脆さや権威主義の過ちなど、人間の愚かさに切り込んだ作品だ。特に、12~15巻のアルカディア編は人間集団の残虐さがありありと描かれている。ここまで骨太なストーリーと下ネタを一つにまとめあげるのは、さすが徳弘正也先生としか言いようがない。余談だが、『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生は徳弘先生のもとでアシスタントをしていた。尾田先生のどんな場面でもギャ グを繰り出すところは、徳弘先生の影響を感じる。
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