月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 11
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この人は私の好きな人じゃない。手の感触も息遣いも全部違う。同じDNAを持った別の人―――。令と臣は双子の兄弟。私、奈都とは幼馴染でいつも3人一緒だった。でも、私が好きになったのは1人だけ。私は令が好きだ。だけどその時はまだ、気付いていなかった。太陽を目指して月の明かりを頼りに歩いていることに…。そして高校受験を控えたある日、令が不治の病に侵されていることを知る。私達3人の歯車が、狂い始める―――。 「令は“おきて”で臣は“家来”。双子でも、役割があるんだよ。臣…お前には譲らないから。お前は後でいいだろ。俺がいなくなってからで。」 ※この作品は【危険恋愛M】vol.69でもお読みになれます。 -
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ずっと気づかずにいた。私は太陽を目指して月の明かりを頼りに歩いていたことに。令はもう長くは生きられない。「臣…お前には奈都を譲らないから。お前は後でいいだろ、俺がいなくなってからで。お前に出来るならね」※この作品は【危険恋愛M】vol.71でもお読みになれます。 -
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ずっと自分の名前が嫌いだった。でも奈都がこの名前が俺にピッタリだと言ったから、絶対裏切らない自分を守ってくれる信用できる人の名前だと、君が、そう言ったから、俺は、お前に尽くすよ…。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.73でもお読みになれます。 -
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令に求められるまま、私は応じた。朝になり、動かない令。呼んでも、叫んでも、もう二度と会えない。※この作品は【危険恋愛M】vol.75でもお読みになれます。 -
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私は高校生になった。令がなれなかった高校生。そこでまだ令が生きていた頃と同じように弓道を続けている。転校生が来た。臣…!?※この作品は【危険恋愛M】vol.77でもお読みになれます。 -
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臣。何故この街に帰って来たの。「お前に会いたかったからだよ」「あの時」「令が階段から落ちたあの時」「俺が押したんだって言ったら?」※この作品は【危険恋愛M】vol.79でもお読みになれます。 -
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俺が押したんだって言ったら…?臣…、何を…言っているの…。「冗談だよ」本当に…?今夜は月がない。新月だ。真っ暗で迷子になりそう。臣は、何を言いたかったの。※この作品は【危険恋愛M】vol.81でもお読みになれます。 -
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月が少しずつ姿を現す。急に生理が来た。よく生理不順になる。初めて生理が来たのも遅くて中3の終わりだった。令との事があったあとだった…。令の墓前に臣。微笑む。「少しずつ、お前が当然の様に持っていた物、もらっていくから」※この作品は【危険恋愛M】vol.83でもお読みになれます。 -
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臣が弓道部に入ってきた。私とは昔みたいに仲良くは出来ないと言ったくせに、どういうつもり…?今週末は、弓道部の合宿がある。臣も…来る。相楽先生は、何かを知っているみたい。「そういうことしてるとまた同じことになるよ」※この作品は【危険恋愛M】vol.85でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 10
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先生に殴りかかった臣。相楽先生が過去の事に触れたから?私をかばって……?臣は、昔から何でも一番に気付いてくれた。令よりも先に。でも私は、子供の頃から一緒にいても臣の事を見ていなかったのかも知れない。こんな状況で初めて、臣をちゃんと見たような気がした。※この作品は【危険恋愛M】vol.87でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 11
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臣とキスした。臣の唇が震えている。令の顔が浮かぶ。なんでキスなんかしちゃったんだろう。キスなんかしなきゃよかった。あんな気持ちになっちゃいけなかった。他の誰でもない、臣にだけは…。※この作品は【危険恋愛M】vol.89でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 12
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影からほんの少しのぞく月の輪郭。もう確実にあの時のふたりではないのに、過去は影になって私たちは今でもその影に支配されようとしている。その影を捨てることを選べずにいる。私は臣に対する気持ちが何なのか知りたい。昔を懐かしんでいるのか、令と重ねているのか、それとも…。帰りの電車、みんなが降りていく。私たちだけが座ったまま…電車が発車する。※この作品は【危険恋愛M】vol.91でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 13
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二人っきりだ。「うちに、くる?」私の部屋、窓際に令の写真。写真の令に見せつけるように臣は…。令のこと、こだわっているのは臣だよ。私に触れるのは令へのあてつけなの? ※この作品は【危険恋愛M】vol.93でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 14
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美咲は私に臣と付き合っていたと言った。また戻りたくて臣を訪ねて来た、臣には伝えたし考えると言ってくれたと。「二人とも過去は忘れたら?」「私は令の事を知らない」「だから臣と令を比べる事もない」「今の臣だけ見てる」もうすぐ新月。月は完全に姿を消す。※この作品は【危険恋愛M】vol.95でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 15
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「美咲と付き合う事にした」どうして…。ショックで気が付いたら相楽先生にすがっていた。誰かに側にいて欲しい。こんな時一人でなんていられない。その時、先生はいてくれた。だから…。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.97でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 16
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先生とキスした。あれから一ヶ月、夏休みに入った。私は部活に早めに行って、先生と少しだけ2人の時間を過ごす。でも、それだけ。先生は、私の準備ができるのを待ってくれている。臣も何事もなかったかのように普通に部活に来ている。留まっているのは私だけだ。台風が、近づいている。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.99でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 17
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「やめてくれ」最後の力を振り絞るような思いで伝えた言葉も、臣には届かない。臣は帰り、入れ違いで先生が来た。恋がいつか思い出になるなんて、嘘だ。かなわなかった恋はあまりにも鮮烈なシミになって、覆っても隠してもじわりとしみ出してくる。「今夜は先生の部屋に泊めて下さい」このままここで、臣が隣りにいるこの家で、夜を過ごすことなんて出来ない。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.101でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 18
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倒れている臣。熱がある。あの嵐の夜…私の所へ来てくれた。あの時、雨に濡れたせいかも知れない。…先生と約束がある。行かないといけないのに、私はまた…。思いは繰り返す。逃れようと思っても、抜け出せない。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.104でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 19
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学校に行くと、令との事が噂になっていた。美咲が噂の発信源だった。でもそんな事はどうでもいい。これは罰だ。臣に恋をした罰なんだ。私たちは、近付いてはいけなかった。※この作品は【危険恋愛M】vol.106でもお読みになれます。 -
月下のふたり~もういない君は、この恋を許さないだろう~ 20
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彼は、刻みつけたかったのかもしれない。肌を吸った跡は2日もすれば消えてしまうとしても、彼には最後のあがきだったのかもしれない。だから私は、彼の記憶を守りたい。誰にも穢されたくない。臣と、関わるんじゃなかった。 ※この作品は【危険恋愛M】vol.108でもお読みになれます。
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