空也上人がいた
81歳、孤独な老人。46歳独身、介護職の女。27歳、特別養護老人ホームを「ある事情」でやめた青年。ぬぐい去れない痛みを抱えた3人の奇妙な恋が始まる――――。脚本家・小説家山田太一の小説『空也上人がいた』(朝日新聞出版)を、『THE WORLD IS MINE』『キーチ』の鬼才・新井英樹が漫画化!! 巻末に新井英樹×山田太一録りおろし対談を収録!!
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※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい
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「山田太一と新井英樹が組むなんて…!」
意外過ぎる組み合わせに衝撃を受けて読み始めました。
新井英樹のキャラが感情を爆発させる姿を何度も見てきたので、
序盤は「誰も銃を持たないな…」「誰も人をボコボコにしないな…」と
ついついいつものくせで思ってしまいました。
派手なシーンは多くはありません。
しかし、前職の特養老人ホームで悔やまれる行為を行った主人公の草介と同様に
彼の介護を受ける吉崎さんにも
わかりやすい暴力ではないにせよ人を傷つけた経験があり、
それが彼が抱く痛みと繋がっています。
吉崎さんは、時々家を訪ねてくれるケアマネの女性・重光さんへの感情から
彼女と草介に奇妙な提案をもちかけます…。
最初は普通の元気なおばさんにしか見えなかった重光さんが
展開が進むにしたがってどんどん色っぽく、魅力的に見えてきます。
強烈な暴力もなく性描写も比較的穏やかですが、
心に深く刺さるシーンが多い作品です。