コンプレックス・エイジ(6)
27歳の派遣社員・片浦渚(かたうら・なぎさ)にとって、"コスプレ"は人生のすべて。友人・公子(きみこ)の「趣味をやめる」という選択に、渚は自分の限界を意識し始める。そんな時、母の佐和子に、60歳になっても"ゴスロリ"を続けている母の友人・ノリを紹介され――。趣味を手放すか、しがみつくか、それとも――。趣味と現実の狭間で揺れ続けた、渚が出した答え。【収録内容】描き下ろしのエピソード/『COSPLAY MODE』監修の用語解説
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全オタクに読んで欲しい作品です。
今はいい時代になりましたね。アニメやマンガ、ゲーム、コスプレ、声優…いわゆる二次元的なオタク趣味が個性として受け入れられて、メディアで特集が組まれたり、深夜アニメコンテンツが一大ブームを巻き起こすなど、世間でも「ありふれた文化・趣味」のひとつとして広く認められるようになりました。
ただ「オタクは忍ぶ者」と昔はよくいったもので。日陰者の趣味扱いをされることが多く、周りにバレないようにコソコソと活動するのが当たり前でした。だからこそ同志を見つけたときは熱い絆で結ばれて、その「好き」なことに時間を割くために皆一様に情熱を注いだものです。ですけどね、親バレや学校・職場バレしたりするとそりゃあ心無い言葉が飛んでくるんですよ。
「引くわぁ…」「いい歳して…」「みっともない…」「もっと健全な趣味を…」
この作品では、そんな「好き」なものに魅入られた人間の情熱と地獄と葛藤がこれでもかというくらいにエグく描かれています。共感してしまうと抜け出せません。心臓を直接掴まれたようなねっとりとした心理描写はもうつらいのなんの。
コスプレをテーマにしているのもあ って、年齢・容姿に対する理想と現実のギャップや、趣味に対する各々の価値観が如実に描かれているのも特徴です。この夢の時間はいつまで続けられるのか、好きなことをずっと続けてはいけないのか…。主人公の渚だけではなく、彼女の友人やコス仲間、家族、恋人…色んな人達がそれぞれの「好き」な気持ちに翻弄されていきます。
全6巻で完結済み、最後までぶっ通しで読めますのでぜひご一読を(ただ、いにしえのオタクの方々は心を強く持って読んでください)。
最終巻で紡がれる渚の「好き」に対する持論があるのですが、その言葉はおそらく全オタクにとって金言となるに違いありません。
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