69億分の1の初恋
「ねぇ、キスしよっか?」――同窓会の知らせに、ふと学生時代の思い出が頭に浮かぶ。つまらないと言っていた本を読み続ける不思議な少女がいた。一緒に過ごす時間が増え、くだらない話をしながら、恋を知った恭介。「あなたは、なんにでもなれる」そう言って、初恋相手は一冊の本を残して転校した。彼女と交わした不意打ちのようなキスだけが、印象に残っていた。数年後、自分の夢と折り合いをつけて社会人になった恭介は、淡い期待をこめて、再会を願った。
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