太郎(TARO) 15

太郎の会社の取引先、正宗印刷が倒産してしまう。2千万円を回収するため、張り込みをしていた太郎はまんまと夜逃げされてしまう。渥美課長は居場所を突き止めるため盗聴器を仕掛けようとするが太郎は反対する。チャンピオンをめざす太郎はあくまで正攻法を主張する。そんな太郎の想いが通じ、正宗印刷の社長は借金返済を約束する。一方、太郎にあまり相手にされないあゆは寂しさのあまり自分を見失う。そしてあやしい宗教にはまっていく。

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  • 太郎(TARO) 1

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    太郎はプロボクサーでありながらつくし信用金庫に勤めている。W大学に合格したが親のスネをかじりながらボクシングを続けたくなかったからである。職場でこのことを知るのは先輩の森崎だけ。森崎は懸命な太郎がついつい気になり放っておけない。一方、太郎もそんな森崎に想いをよせてる。プロデビュー戦でKO負けを喫した太郎の第2戦目の相手は、インターハイ準優勝の経験を持つ早見卓。太郎は1、2ラウンドは打ち込まれるが3ラウンドからは天性のディフェンスが冴え、パンチが当たるようになり、ダウンを奪う。そして最終第4ラウンド、壮絶な打ち合いが始まった。
  • 太郎(TARO) 2

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    第4ラウンドの壮絶な打ち合いで、ダウンを奪ったのは太郎であった。しかし早見も根性で立ち上がる。結局試合はこのまま引き分けになるが観客の拍手は太郎に送られる。週明け、顔を腫らして出勤してくる太郎を見て、会社の上司は太郎に会社を自ら辞めさせるため、きつい外回りの業務を命じる。また会社の重役である叔父からも次の試合でもし勝てなければボクシングをやめるよう説得される。自分のわがままを通す以上、仕事もボクシングも両立すると誓った太郎はただひたすら仕事と練習をこなしていく。そして運命のプロ第3戦、叔父と森崎が見守るなか、試合開始のゴングが鳴った。
  • 太郎(TARO) 3

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    太郎はプロ第3戦の相手にいともあっさりとKO勝ちしてしまう。初勝利に再び笑顔を取り戻した太郎。しかもこの試合を太郎の営業先の社長が見ていたのだった。ボクシング好きの社長は、以前は全く相手にしなかった太郎に興味を示し、経営するアパートでのトラブルを相談する。これを見事解決した太郎は社長に大いに気に入られ、積金の仕事を得ることになる。初めてお客をとった太郎。会社でも少しずつ認められるようになる。そしてプロ第4戦、大阪での試合が決定した。
  • 太郎(TARO) 4

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    大阪での試合の直前、太郎はデビュー戦で戦った外人ボクサーに襲われそうになる。二人は実は、子供の頃、その外人の母国で出会っていたのだ。しかも太郎の父親はその外人ボクサーの姉に許し難い行為をしたのだった。試合に勝っても、そのことが頭から離れない太郎。またその外人ボクサーから言われた「オマエには欠陥がある。」という言葉が妙に気になる。その外人ボクサーはめっぽう荒っぽく、パワフルで、野性的。シャープで正確無比、優等生的な太郎とは正反対にいるタイプのボクサー。その男の名は「ガルシア。」
  • 太郎(TARO) 5

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    ガルシアから言われた欠陥が気になる太郎。とうとう直接ガルシアに聞きに大阪まで出向き、スパーリングをすることになる。前半おもしろいようにあたる太郎のパンチ。しかしガルシアにはダメージが少ない。つまり太郎の欠陥とはパンチが軽いことであった。この事実にショックを受ける太郎。ジムに帰り、早速筋力トレーニングするが、パンチ力とは天性のもの、なかなかうまくいかない。一方デビューからずっと太郎を見続けてきた森崎は、恋人との結婚が迫っていた。しかしどうしても太郎が気になる森崎は、結婚を白紙に戻してしまう。
  • 太郎(TARO) 6

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    デビューからずっと太郎を見続けてきた森崎は、恋人との結婚が迫っていた。しかし、どうしても太郎のことが気になる森崎は、結婚を白紙に戻してしまう。森崎のことをあきらめられない元婚約者は、太郎の元へやってきて、森崎から手を引くように頼む。何も知らなかった太郎は動揺するが…。
  • 太郎(TARO) 7

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    エビハラボクシングに出向いた太郎は堀内というボクサーと知り合う。太郎と違い、才能もセンスもないボクサーである。そんな堀内だが以前のさえない人生よりは、今、充実しているという。しかし太郎にはそうは思えない。太郎の目標は世界チャンピオンなのである。そして皮肉なことに太郎の次の対戦相手が堀内に決まる。動揺する太郎。早めに試合を終わらせるため、1ラウンドKOを狙う。しかし打っても打っても堀内は起きあがってくる。そしてとうとう堀内リングサイドからタオルが投げ込まれ…。
  • 太郎(TARO) 8

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    4連続KO勝ちとなった堀内との試合がテレビで放送されてしまう。次の日、会社ではその話でもちきりとなる。特に上司と不倫をしているあゆには、太郎の引き締まった体は新鮮に思える。結局、会社は宣伝効果を期待して、勝ち続ける限り太郎のボクシング活動を認めることにする。うかれる太郎はその夜、ジムをさぼり、あゆと一夜を過ごしてしまう。ボクサーであることを知られた太郎は会社で一躍人気者。しかし以前から見守り続けている森崎はおもしろくない。そんな気を知らない太郎はあゆの家に通い続ける。
  • 太郎(TARO) 9

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    太郎の六回戦の相手セコンドには、以前、引き分けた早見の姿があった。対戦相手には苦戦しながら何とかKO勝ちするが、早見に太郎の欠陥であるパンチの弱さを見抜かれてしまう。一方、会社では、またもやKO勝ちした太郎をみんながもてはやす。担当地区も与えられ、一人前扱いされることになる。またライバルのガルシアは金を稼ぐため東京でスパーリングパートナーのアルバイトをしていた。そこで、死んだ姉に似たサンディに出会う。
  • 太郎(TARO) 10

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    偶然、太郎のバックの中からコンドームを発見してしまう森崎。すぐに太郎とあゆの関係に気づく、と同時に自分が太郎を一人の「男」として見ていることに気づく。そして太郎のボクシングのように「自分にできるもの」を探すため会社を辞めることを決心する。一方、太郎は対早見戦のため、サウスポー対策に取り組む。早見のパンチは骨に響くように重い。また自分には早見を倒すような強いパンチをもっていない。焦る太郎。そこへライバル、ガルシアのトレーナー、柴田がやってくる。柴田は太郎の師、今は亡き花形と戦ったことのある男である。柴田は太郎に「眠れるパンチ」があることを告げる。果たして「眠れるパンチ」とは?
  • 太郎(TARO) 11

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    「眠れるパンチ」を見つけた太郎はトレナーと共に特訓に励む。しかし、試合当日、やはり自信のない太郎は師、花形から受け継いだオーソドックスなボクシングスタイルで試合に臨むことを決める。1ラウンド、早見のパンチを見切り、おもしろいようにパンチを当てていく太郎。しかしそれは早見の作戦だった。2ラウンド、見切っていたはずの早見のパンチが急にあたるようになる。太郎の正確なディフェンスを逆に利用し、1ラウンドとは違うタイミングでパンチを繰り出しているのだ。もともと師、花形のボクシングスタイルのコピーでしかない太郎は、一度、狂いだしたら修正が利かない。次々とダウンを奪われてしまう。どうする太郎!
  • 太郎(TARO) 12

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    5ラウンドのダウンをきっかけに太郎はオーソドックススタイルを捨てる。そしてサウスポーのデトロイトスタイルにスイッチする。もともと左利きの太郎の左パンチこそが「眠れるパンチ」だったのだ。一気に勢いを取り戻す太郎。そして運命の最終ラウンド、早見のお株を奪うフェイントからの左フックが早見のテンプルに炸裂し、太郎は逆転勝利をおさめる。しかし一難去ってまた一難。顔の腫れも引いた頃、会社で太郎の新しい配属が決まった。とにかくきついと言われる不良債権の処理係である。しかも姑息な渥美課長の部下として。果たしてボクシングの様にうまくいくのか?
  • 太郎(TARO) 13

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    仕事のためなら手段を選ばない渥美課長についていけない太郎。そんなある日、太郎は渥美課長の車の中から森崎の写真を見つけてしまう。中にはヌード写真も。動揺する太郎。しかしよく調べてみるとコンピュータによる合成写真だった。渥美課長も太郎と同様、森崎に思いを寄せていたのだ。一方その森崎は会社を辞めた後、スポーツジムに水泳インストラクターとして勤めていた。実は森崎は、高校時代、オリンピックを夢見ていたのだ。そしてそのジムのオーナーは憧れの人、もとオリンピック代表の高塚リュウだった。
  • 太郎(TARO) 14

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    太郎はWBCバンタム級チャンピオン、イワン・ヴァシリエフのスパーリングパートナーを勤めることになる。世界で一番強い男と同じリングに立てることに心が躍る太郎。会場に向かうとライバル、ガルシアが先にスパーリングをしていた。しかし全く歯が立たない。ガルシアは結局チャンピオンの顔面にパンチを入れることすらできなかった。いよいよ太郎の番、前半打ち込まれるがサウスポーにスイッチしてからは、パンチがヒットするようになる。しかし本気になったチャンピオンにあっさりとKOされてしまう。花形という具体的な目標を失ったままの太郎に新たな目標が見えはじめた。
  • 太郎(TARO) 15

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    太郎の会社の取引先、正宗印刷が倒産してしまう。2千万円を回収するため、張り込みをしていた太郎はまんまと夜逃げされてしまう。渥美課長は居場所を突き止めるため盗聴器を仕掛けようとするが太郎は反対する。チャンピオンをめざす太郎はあくまで正攻法を主張する。そんな太郎の想いが通じ、正宗印刷の社長は借金返済を約束する。一方、太郎にあまり相手にされないあゆは寂しさのあまり自分を見失う。そしてあやしい宗教にはまっていく。
  • 太郎(TARO) 16

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    太郎にあまり相手にされないあゆは、寂しさのあまり自分を見失う。そして、あやしい宗教にはまってしまう。太郎の力になりたいあゆは、精神的パワーがアップし、自分以外の人間にすごい影響力を持てるようになるというコースを受けることに。だが、このコースを受けるには多額の費用がかかり…。
  • 太郎(TARO) 17

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    アポロジムの会長・高塚リュウの差し金で、森崎みほは、ガリーのマネージャーになることになった。これは高塚がガリーを憎まれ役のボクサーとして売りだすための作戦のひとつだった。ボクシングをビジネスとしか見ていない高塚に、反感を抱く太郎。そんな太郎に高塚は、「ガリーへの挑戦を考えて欲しい」と申し出る。
  • 太郎(TARO) 18

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    アポロジムから、チャンピオンへの挑戦を持ちかけられた太郎。熊田会長は、まだ時期尚早だと言い張るが、ガルシアとの古い因縁に決着をつけるために、太郎はすでに意志を固めていた。翌日、アポロジムへ出向いて試合のオファーを受けることを伝えた熊田は、試合にあたってひとつだけ条件をつける。
  • 太郎(TARO) 19

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    敵地・韓国へ乗り込んだ吉野太郎。VS白烈鉄(ペク・ヨルチョル)戦の開始時間まで、あと1時間を切った。韓国の英雄と呼ばれるほどの強打を誇り、過去に世界チャンピオン、イワン・ヴァシリエフに2度も挑戦。だが薬物に手を出してしばらく引退同然だった白の再起戦とあって、会場は異常な興奮に包まれる。全員が白の応援をする会場で、セコンドの熊田は、こんな状況下の精神的なプレッシャーを克服した男として、ライバル・ガルシアの名を持ち出し、太郎にハッパをかけようとするが…。
  • 太郎(TARO) 20

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    1月後の太郎との日本タイトルマッチへ向け、調整を続けるチャンピオン・ガルシア。だが、強敵との試合を前にして過酷な減量を続け、ただでさえその精神状態は極限にまで張り詰めているのに、これ以上筋肉を付けないよう、過度の練習を禁止され、ついに切れてジムで大暴れをはじめる。そしてマネージャー・森崎は、したいようにして減量に失敗したら、それは仕方ないことだと言い放つ。

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