君ノ声 1

時は大正。人の心の声が聞こえる京極一成は、その力を活かして商社を経営する敏腕社長だ。
事業は順調だがその力のせいで人を信じることができず、彼はかなりひねくれた性格をしていた。
一成は資産と人脈を目当てに名家である諏訪部家の令嬢に縁談を申し込むが、縁談相手の諏訪部ななからは心の声が聞こえないうえ、彼女は声を出して話すことができなかった。
戸惑う一成だが、勢いで二人は夫婦になってしまい…? 不器用で幸せなふたりの結婚生活が始まる。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

時は大正。
他人の心の声が聞こえる京極一成は、その能力を活かして商社を経営し敏腕社長と言われています。
しかしその能力のせいで人の裏表を見せつけられること も多く、人を信じることができなくなっていました。

一成は、資産と人脈目当てに大地主の諏訪部家と縁談を結ぼうとするのですが、相手の令嬢は声を出して話すことができませんでした。
しかし一成は、心の声だけ聞いていれば良いのでむしろ楽なのでは!?と考えて縁談を進めようとするのですが、実際に会ったななからは何の音も聞こえてこなかったのです。

戸惑う一成は色々な手段でななの心の声を聞こうとしますが、どうしても彼女の心の声は聞こえません。
心の声が聞こえないと、嘘にも裏切りにも気づけない。そうなると夫婦生活を送るのは難しいと、一旦は婚約破棄をしようと思うのですが、諏訪部家でななが虐げられている姿を目撃し、思わず助け出してしまうのでした。

しかし、ななは話すどころか文字を書くこともできないことが発覚します。
唯一自分の名前は書けたのですが、それは「諏訪部 名無」というあまりにも衝撃的なものでした。
ショックを受けた一成 は、
「粗末に扱われることを許すな 不幸に慣れるな 負けるな」
と声をかけます。
そして、「名無」ではなく「七名」という新しい名前を付けてあげたのです。

勢いではじまった二人の生活ですが、実は七名にも秘密があり…。

ある意味こじらせ男子の一成ですが、性根は優しいのだな…と思える部分が随所に感じられ、その不器用な優しさにきゅんが止まりません!
七名の手を引いて連れ出すシーンなんて、まるで白馬の王子様のようですが、照れて赤くなっているのが可愛くてたまりません…!!
声を出して会話することができず、文字での意思疎通もできず、心の声も聞こえない。八方塞がりでありながら、なんとか七名とコミュニケーションを取ろうとする一成。
優しさ大洪水です。

虐げられてきた女性がスパダリ要素のある男性と出会い幸せになる物語は、昨今人気のジャンルです。
この物語も似た構造ではありますが、コミュニケーションを取れない二人がすれ違いながらもどう距離を詰めていくのかという部分にスポットが当たっており、一味違ったラブストーリーと言えます。

今まで虐げられてきた七名ですが、一成と一緒にいることで少しでも心が癒えて幸せになって欲しい!!と願います。

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