その薬は私の血肉で出来ている
天国でも地獄でも救えない、重い重い死者の魂が落ちる場所――辺獄(へんごく)。人間の体が万病を治す薬となるこの地に落ちた少女は、自分を拾った異形の医者の「薬籠(やくろう)」として、その身を削り、人々の病を傷を癒していく……。有一九が精巧な筆致で描く、ダークファンタジー開幕!
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※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい
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その薬が救えるのは命か魂か。
行き場のない死者の魂が落ちる場所である「辺獄」で、その身そのものが薬となる人間の少女は、異形の医者と共に自らを削りながらも病を癒し、様々な出会いを通じて自分や世界を知っていく。
天使や悪魔、命と魂、人々の思いが全6話で描かれる、悲しみと慈しみに満ちたダークファンタジー。
一見するとホラー・サスペンス系の雰囲気を感じるタイトルですが、内容的には少し複雑なところがあるものの、ダークでありながら繊細な物語が繰り広げられ、全6話とは思えない満足感がある作品です。
また、病や命を題材にしてはいるのですが、グロテスクだったりキツい表現が多かったりするわけでもないので、そういった描写が苦手な方も安心して見られる内容になっています。
ネタバレになってしまう部分もあるので具体的な内容は控えますが、何よりも主人公である人間の少女と異形の医者の関係性が非常に魅力的でおすすめポイント!
個人的には、もっと眺めていたかった、もう少し続いてほしかったと願ってしまうくらいに読んでほしいと思う一作でした。