『その日世界は終わる』先行配信

「逃げ恥」の海野つなみ原作『その日世界は終わる』が単行本化!
さらに、本作に参加した11人の漫画家が座談会を開催!
「憧れの漫画」について語っていただきました。

『その日世界は終わる』先行配信!

座談会の様子はコチラ


――皆さんが“漫画”の世界に入るキッカケになった作品は何だったのでしょうか。

一同:え~、難しい。

なかはら:でも、それけっこう聞きたい!

海野:私は、小学館の学年誌で連載されていた、山根あおおに先生の『名たんていカゲマン』。そしたら日本漫画家協会に入った時の推薦人が山根あおおに先生で「わあ~!」ってなりました。

TONO:私は、家が漫画禁止だったんですよね…。「なかよし」や「マーガレット」は全然読めない暗黒時代でしたが、その中で好きだったのは、石ノ森章太郎先生の『人造人間キカイダー』。

海野:『キカイダー』…意外!

TONO:めちゃめちゃ納得いかない、悲し~いラストなんですよ。主人公が何もかもを失って、風の中をただ去っていく。描いてた漫画家さんたちは戦争の頃に青春を過ごしたから、戦後すべてガランのようになってしまったという傷を抱えていたからこそリアルだったんだと思う。今信じてる幸せが、すぐに崩れることがあるっていうのを知ってるからこそ。

ひうら:『カムイ伝』とか、あの頃の少年漫画って悲しい終わりが多いですよね。私も小さい頃、すごく少年マンガ好きだったなあ。なので私は『ドカベン』。ペンネームの“さとる”は『ドカベン』の「里中智」からなんです。“ひうら”は水島先生の別作『野球狂の詩』の「火浦健」からだし。…2人ともピッチャー!(笑)

なかはら:私はジャンプっ子だったので、一番最初はやっぱり『キャプテン翼』。中学くらいから同人誌とかつくっていたんですけど、ジャンプの漫画を“萌え”の目線で見てた(笑)。

飛鳥:私は『キャンディ・キャンディ』が初めて読んだ漫画だったかも。

一同:あぁ~…!

飛鳥:小学校に上がる前に親が1・2巻を買ってくれて、それを読んで「なかよし」を買い始めて。

おかざき:私も、『キャンディ・キャンディ』。『軽井沢シンドローム』、『船を建てる』、『少年は荒野を目指す』なども大好きですが。

海野:あの時は流行ってたからねえ、年代的に。私、昔「なかよし」の付録でついていた別冊の『キャンディ・キャンディ』シリーズも全部とってあります(笑)。

TONO:それは貴重! キープしといたほうがいい!

ひうら:「壁ドン、バーン!」みたいなのの始まりって、私の中ではテリィで。馬小屋に押し倒すんですよ、キャンディを…もう最高!!(笑)その頃は小学校4年生くらいだったけど、ずっと興奮してた~。

樋口:私は藤子・F・不二雄先生かな…『エスパー魔美』とか。

小原:僕も、藤子・F・不二雄先生の『ドラえもん』や吾妻ひでお先生の『チョッキン』は、いまだに読み返します。

樋口:F先生、ああ見えて展開が怖いんですよね。“戻ってこられない”とか、恐怖をつつくんですよ。楳図かずお先生とかのホラーも大好きだったので。

一同:ああ~~。

ひうら:私も好きだったー。

TONO:ええ~、皆さん描いてよホラー、見たいわ。

海野:『逃げ恥』の日野っていうキャラクターの名前、実はホラー作家の日野日出志先生からいただきました。

一同:そうなのー!?

樋口:日野先生、イケメンなんですよね。

栗原:伊藤潤二先生も、いい男だし優しいし最高ですよ! 私もホラーは好きで、中でも美内すずえ先生の作品が大好きでした。『妖鬼妃伝』でしょ、『魔女メディア』でしょ。

樋口:ホラーを読んでると、漫画描きたくなりますよね。人を怖がらせる仕掛けが面白くて! めくりでウワアアーって驚かされる快感。美内先生、めちゃくちゃうまいじゃないですか。

なかはら:「なかよし」の、ホラーなシリーズとかもよかったよね~。

海野:で、うえりん先生は?

上田:私はもう、よしまさこ先生。あと、『月の夜星の朝』の本田恵子先生。集英社っ子なんで。

一同:ああ~~!!

ひうら:でも上田さん、本田さんとかとキャリア同じくらいじゃない?

上田:いえ、全然! 本田さんのほうがもっと上。私も漫画禁止の家だったから、小学生時代には漫画読んだことなかったのよ。漫画を読みだした次の年にデビューしたから。

一同:ええ~!!!!

上田:中学生の時に漫画を学校に持ってきた子がいて、それで初めて漫画を読んだの。

TONO:天才少女…!

なかはら:そんな設定で朝ドラやったら「そんなやついねーよ」って言われちゃう…!(笑)でも当時は、漫画に出会ってすぐデビューする人、いましたよね。

TONO:それにしても、結局みんな同じもの読んでるんだあ。

海野:年代近いから。

なかはら:私、『ベルサイユのばら』の連載開始くらいの時期に生まれた。

上田:『ベルばら』は、池田理代子先生が24歳の時の作品なんだよね。

ひうら:『日出処の天子』も、山岸涼子先生が24歳の時の作品。『あさきゆめみし』を大和和紀先生が描き始めたのも20代だって。

一同:ひえー。

なかはら:漫画ってひとりで描くイメージありますけど、友達がいるとめっちゃ成長するんですよね。

ひうら:私も、同期が上田美和ちゃんと早坂いあんちゃんで、すごい仲良くって、手伝いあったりしてて…作品の中で主人公の部屋のポスターに、ローマ字で私信を描いたりしたなあ(笑)。「NEMUIYOU」とかさ…「寝ろよ!」みたいな(笑)。

一同:あるあるある~!(笑)

上田:今回も、集まった作家さんは皆つなみさんと年代やキャリアが一緒なのかなって思ってた。新人さんとか入ってないでしょ?

海野:一番若いのがヒグポン。近い人が多かったですね。絵を描いてくれる10人を考えてる時に、「よく知らない人でも頼んでみたら?」って言われたんだけど…やっぱり普段から交流があって、好みとかを知っている人がいいなあって思ったんですよね。

上田:同じくらいの年齢やキャリアで、ずーっと漫画を描いてた人たちが結集しているのがすごいよね。自分と近いキャリアの中の、“真打”みたいな人ばっかり集まってるから、すごく豪華な企画だなあって。

海野:素晴らしい本になってよかったです…。

――ありがとうございました!

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10編から成る『その日世界は終わる』では、世界の終末を目前に浮き彫りになる、様々な“人間”の姿を描く。10人の作家がそれぞれの技巧をこらし別のステージへ昇華する“海野つなみワールド”、必読です!

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