黒谷知也の漫画
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巻220 pt
(漫画本文/計40p) アキエ・ルイトの投げた石には波紋が広がらなかった。水面が波打つことなく、石は水中に吸い込まれた。超自然や不条理という言葉を長じてから知るにしても、感覚や感情をもってそれがあってはならない現象であると捉えた者もいたはずだ。そして私はそのひとりだった。――「アキエ・ルイト」(20p) ある動物(?)がいると聞き実物を見てみたいと考えた。一匹の猫が背に乗った。そしてまた一匹。――「背上の本」(10p) 私の周囲には半透明の文字が回っている。私と文字との関係は太陽と惑星を思わせる。――「文字儀」(10p)
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巻110 pt
友人が本を妊娠したという。医者に堕胎を促され、周囲に正気を疑われながらも、彼女はひとりで産む決心をする。――「本の懐胎」 一人目の夫に頼まれて買ってきた漱石の『草枕』。二人目の夫との暮らしを始めても、その本を手放さずにいる。――「草枕のこと」 異世界の海には本のような形態の生き物が棲息しており、バムートと呼ばれている。バムートのページはほぼ透明に近い半透明で薄い青色の文字が書かれている。――「海の本―バムート―」 漫画31頁・全44頁
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巻220 pt
(漫画本文48ページ・演出の黒塗り3ページ含む) 仕事が一段落して本を片付け資料を整理しノートに纏めていると、窓の向こうに軍艦雲が見えた。雲はゆっくりと山に降りていく。私はおそらく何年もこのときを待ち望んでいた。ペンを置き車を走らせて雲を追う。 地球上のどこかの場所に、年間およそ10回から30回くらいの頻度で軍艦雲は発生する。この雲の名称は国や言語によって様々である。私の国ではクジラのような形に見えるので「鯨雲」とも呼ばれている。「パンの雲」という国もあるし、「本の雲」という国もあるし、また変わったところでは「形而上の雲」という国もある。私は子どもの頃カリフォルニアで遭遇したときに祖父が言った「軍艦雲」という言葉を使っている。
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巻715~770 pt
本をテーマの中心とした幻想漫画集 不思議なドリップコーヒーは、「ありがとう」や「さようなら」などパッケージに書かれた言葉の感情を喚起する。--「言葉の珈琲」 叔父は読書をしに月へ旅行するらしい。--「月の読書」 グドュグドュという得たいの知れないものがいる。真っ黒で服は着ておらず、その黒色を見ると、数字がオーバーフローしている印象を受ける。--「グドュグドュ」 模写したページを川に流す行事があり、頁流転と呼ばれている。--「ページの船」 海の方から本の匂いがする。砥生海町の住人たちは万が一に備え避難を始める--「書雨」 他収録作「五本の絵筆」「文字菜」「白千布」「鰐の起立」「高速道路」「オレンジの本」「リビングの本」「文字の涙」
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巻660 pt
12篇の現代日常作品集。 式の直前婚約者が自ら命を絶ち、男は残される――「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」 架空の透明な猫ネココが見える少女七実と、血縁のある女達――「血縁のある四人の女の午後」 私はあの頃自分の若さが嫌だったのです、未熟さが嫌だったのです――「谷後先生」 青は空の色、海の色、世界と繋がってる色――「海を見に行く」 他収録作「図書館の帰り道」「ひとり暮らしの大学生が泣いていた」「平日に、オープンテラスで」「自転車は晴れ」「甘党兄弟」「メモリーズ」「少女とカメラ」「書店員 波山個間子」 小学館IKKI新人賞単行本描き下ろし部門受賞作。
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巻275 pt
(漫画本文/計37p)(マイクロノベル20本)(小説) 最近、油絵をはじめたという友人の頭には、五本の絵筆が突き刺さっていた。――「五本の絵筆」(6p) 友人からプレゼントしてもらった「言葉のドリップコーヒー」が届いた――「言葉の珈琲」(8p) 彼人がテーブルの上の本に、コップの水をこぼしている。――「文字菜」(10p) 何もない宙から、一本の白く美しい布が現れる。――「白千布」(5p) タクシーで高速道路を走っている。――「高速道路」(8p) 小説(画像による固定レイアウト) マイクロノベル・20本 掌篇・短篇小説 計約20p 「尻尾」「猫・鼠・人間」「テレビと動画」「ダブルウォールグラス」「大きな心臓」「大きな宇宙人」「オレンジの本」「普通のケーキ」
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巻330 pt
(漫画本文70ページ・全81ページ) 超構造体の屋上に私の居住区はある。巨大な建造物の高さはおよそ1528メートル、屋上の面積は28906平米あるらしいが、私はそのようなことに今は興味はない。おそらく、この先もう地上へ降りることなどないだろう。
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話99~100 pt
在宅勤務の林三護さんは気兼ねのないコミュニケーションを求めて、郊外でガレージセールを開きました。 おでんやダンスを楽しんだり、野球のお誘いがあったり旬の果実を収穫してみたり、世代の違う友人が出来たり、心惹かれる人までやってきたり… ここには、都会のひとり暮らしでは得難い交流が待っていたのです。
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巻1,100 pt
在宅勤務の林三護さんは気兼ねのないコミュニケーションを求めて、郊外でガレージセールを開きました。 おでんやダンスを楽しんだり、野球のお誘いがあったり旬の果実を収穫してみたり、世代の違う友人が出来たり、心惹かれる人までやってきたり… ここには、都会のひとり暮らしでは得難い交流が待っていたのです。 ★単行本カバー下画像収録★
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巻275 pt
青ひげブックスのブックアドバイザー波山個間子(はやまこまこ)が本を紹介したり、お探ししたりします。 「ブックアドバイザー 波山個間子」(サンデーGX掲載)24ページ、「書店員 波山個間子」(まんがライフオリジナル掲載)6ページ、収録。 更新情報 マイクロノベル20本と短い小説を追加収録しました。価格は据え置きです。 「マイクロノベル」「手の写真」「ページの船」「月の読書」「グドュグドュ」「壁の都市」「朗読匠」
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巻385 pt
幻想と日常、19本の短篇集。 古書店である筈のない本を見つける話――「束の間の幻影」 突如世界に現れた巨人のパーツ達――「部位合流」 見たものをすべて猫に変身させてしまう男――「すべて猫になる」 月全体が施設図書館――「コーヴェ・アンネイの図書館」 収録作品「束の間の幻影①②話」「部位合流」「西瓜と猫」「シンデレラの絵本」「X研究室の招待本」「すべて猫になる」「柱の世界」「フィクション」「線路とページ」「夜、アパートで」「白髪」「生まれた土地」「次回予告」「「人生」のようなもの」「明倫八景」「コーヴェ・アンネイの図書館①②③話」漫画本文113頁/全165頁
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巻121 pt
莫大な富を持つニールグール・ヴァーグステン氏は、第六の月コーヴェ・アンネイを丸ごと購入し、読書のためだけの惑星施設を建設する。そこで図書館司書として仕事をするバディ、片眼鏡のアサキ氏と鎧のウイノ氏。同僚や、本を読みに旅してくる一風変わった利用者たち――。本と読書にまつわる連作掌篇集。
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巻220 pt
ここに1冊の奇妙な本がある。2乗になる本である。2乗になるとはどういうことかというと――本のページを1ページめくると本の大きさが2乗になる。また1ページめくるとさらに2乗になる。5,6ページめくると持ち運ぶのも大変な程の大きさになった。この本は全部で300ページくらいある。全てのページをめくったら恐ろしいことになるだろう。それは不可能であるに違いないが―― (漫画本文34ページ)
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巻550 pt
日常と幻想、11本の短篇集 収録作品「二鳥翠」「盤上の往復書簡」「或る若い純文学者の花瓶」「版画花嫁」「双樹」「楽園」「完璧な指」「偶然の顔」「この町では花弁の雪が降る」「象耳見聞録」「樹譚」 漫画本文264頁、あとがき7頁、解説7頁、全305頁。
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巻220 pt
(漫画本文/計35ページ) ・まどろんでいた。午睡をしていた。かつ、又寝をしていた。見知らぬ猫がいた。野良だろう。開け放した窓、すやすやと猫も寝ていた。おや、耳から何かが出ている。紙のようだ、文字が書かれている。――「猫の耳の文学」(10ページ) ・私が彼の”本を探す本”を初めて見たのは、付き合って最初の旅行の直前のことだった。当時、私は新宿にある看護学校に通っており、彼は工学部の学生で西国分寺に住んでいた。――「本を探す本」(4ページ) ・「本の蚊」(15ページ) ・「Nの時間」(6ページ)
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巻715 pt
刀箭磨(とうやま)は本の町である、といって差し支えないだろう――。顔が本の動物に食べられ、右手を喪失した主人公。その右手は薄荷刀(はっかとう)に存在すると空想する。「顔の本」を拾い、図書館へ届け、書棚に納める。顔が本の人間と、顔が本の動物、コーヴェ・アンネイの図書館にまつわる物語。他、小説「マイクロノベル」40本、「ページの人」「リビング本」「文字の涙」
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巻440 pt
日常と幻想、13本の短篇集 「半透明のアイスクリーム」――私の周囲には触れることのできない、半透明のアイスクリームが回っている。 「イヤーマフ」「魔導書房」「ポストの女の子の運命の相手」「喫茶大吉」「窓と結婚」「はみがきこの記憶」「日々刻々」「純文学を読む人」「ある日の夢」「美しい崖」「繰り返されるナイフ」「銀の天使」
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巻275 pt
(漫画本文/計42p) 頭から紙が生えるというと、言葉遊びのようでややこしいので、ページが生えると表現することにする。羽千鳥もとりの頭皮は、生まれてずいぶん長い間なにも生えてこず、つるつるとしたままだった。しかし5歳2か月のときに、白く小さな突起物ができ、それがみるみる成長して文庫本くらいの大きさのページになった。――「ページの人」(18p) 模写したページを川に流す行事があり、頁流転と言われている。――「ページの船」(6p) あなたの目から数珠繋ぎの文字が流れる。――「数珠の涙」(18p) 小説(画像による固定レイアウト) マイクロノベル・20本 掌篇・短篇小説 計約15p 「黄金と白」「静謐の星」「写本」「明球」
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巻660 pt
本をテーマの中心とした幻想短篇集 収録作 本が猫になって飛び出していく――「999匹の本」 友人が本を妊娠する――「本の懐胎」 鳥の鳴き声が文字になって具現化する――「鳴鶏」 入手不可能なはずの幻の本を読む――「コーヴェ・アンネイの図書館」 猫の耳から本のページが出てくる――「猫の耳の文学」 他「草枕のこと」「顔が本の猫」「本の蚊」「本を探す本」「海の本 バムート」「W宮殿」「Nの時間」
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巻220 pt
(漫画本文29ページ) Chapter01 自分の身長より大きな書物を寝台にしている。眠ると、その日の経験が本に吸い取られていき、また他者の記憶が流れ込んで来る。 Chapter02 おそらく類書が複数存在し、私と境遇を同じくする者たちがいるのだろう。直接会ったことはないが、本の内容が部分的に並列化されており、現在や過去の情報を共有している。 Chapter03 彼等を友人のように思うことはあるが、むしろ、自分自身だと感じる方が多いだろう。方々の見知らぬ土地で、私と同じ顔をした、私ではない私たちが暮らしている。
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巻660 pt
本をテーマの中心とした幻想短篇集 喪服の人が本の形をした棺を運んでいく。この地方では昔から木の棺の代わりに本の棺が使われてきた――「本の棺」 ページをめくるたびに際限なく大きくなっていく書物――「二乗の本」 物質を書物に変える不思議な雲――「軍艦雲」 他収録作「アキエ・ルイト」「完璧な犬」「明球」「背上の本」「文字儀」・小説「マイクロノベル」
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巻220 pt
(漫画本文/計37ページ) ・喪服を着た人たちが大きな本を運んでいる。葬列を抜け本を下ろすと、参列者がそれを取り囲む。本を運んだ者のうちひとり(故人の娘である)が合掌したあと、厳かにページを開いた。――「本の棺」(20ページ) ・双子の犬たちを引き取ることになった。完璧な犬である。”完璧”というのは私の主観で、血統がいいとか逞しく大きいとか毛並みが特別に美しいとかいうわけではない。とにかく出会った瞬間の印象が”完璧”だったのだ。――「完璧な犬」(10ページ) ・就寝しようと、ペンダントライトの紐を引っぱると、するりと伸びた。いつもはカチッと音がして明かりが消えるので、壊れたのかもしれない。引くと、紐はさらに伸びた。――「明球」(7ページ)
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巻275 pt
(漫画本文/計40p)(マイクロノベル/20本)(小説/計約20p) 漫画 私は、気づくと知らない家のリビングにいる。リビングには、ダイニングテーブルがあり、椅子があり、ソファーがあり、ローテーブルがあり、テレビがあり、本棚があり、棕櫚竹があり、庭に続く窓にはレースのカーテンが引いてある。壁にはスルバランの絵が掛かっている。私は直ちに逃げださなければならない。ここは自分の家ではないのだから。――「リビングの本」(20p) 「月の読書」(6p)「鰐の起立」(4p)「グドュグドュ」(10p) 小説(画像による固定レイアウト) マイクロノベル /20本 掌篇・短篇小説 /計約20p 「パブリャーカの骨」「五本の絵筆」「高速道路」
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巻220 pt
(漫画本文41ページ・全50ページ) Chapter01 朝の4時に雇用主から電話があり、「今すぐ来い」と叩き起こされた。彼は気が狂ったのではないかと思うほど立腹していた。理由はグールワーナの死にある。私がグールワーナを殺したというのだ。だが、そのようなことが起こったなどと信じたくはない。私は昨日、いつも通り職務を果たし、充分に足る朗読をしたではないか。 Chapter02 大急ぎでかけつけると、確かに(ああ確かに!)、グールワーナが死んでいた!白かったページの端が灰色に変色し始めている。時間をかけて黒くなり、やがてはっきりと死を体現するだろう。蔵本者の五留渡氏は私に怒りをぶつけた。
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巻715 pt
本をテーマの中心とした幻想的な短篇集。 頭から髪ではなく本のページが生えてくる人。ーー「ページの人」 超構造体の屋上の居住区。バックパックブックを背負い、下宿先の大家に頼まれお使いをする。ーー「三角系」 生ける書物〈グールワーナ〉を朗読する職業〈朗読匠〉。依頼者が愛書の死を訴え激怒している。朗読匠である主人公は、自分に落ち度があるはずはないと思いながら駆けつける。ーー「朗読匠」 自分の身長より大きな書物を寝台にしている。眠ると、その日の経験が本に吸い取られていき、また他者の記憶が流れ込んで来る。ーー「本の寝台」
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