ニューノーマル【単行本版】3

「今の世界は、だいぶ窮屈だ。だから、こんな場所があってもいい」――隔離生活を終え、未だ受け入れられずにいた”現実”と向き合う秦。他方、似たもの同士である望月愛里の誘いに惹かれた夏木はそれと知らずに危険な集会へと足を踏み入れてしまう。追憶のサロン、反マスク団体、そして壁の向こうからの使者――。彼らの「日常」は、引き返せない「非日常」の領域へと突入する……!!

【※この作品は話売り「ニューノーマル」の単行本版です】

【収録内容】
「ニューノーマル」第15話~第21話
「ニューノーマル」第19.5話 (単行本新規描き下ろし 8ページ)

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた。
マスクで顔を覆い隠すことは、義務となり、常識となり、そして、文化となった。
僕たちはお互いの顔をまだ知らない。

こんな一文から始まる『ニューノーマル』は、強力なウイルスが人類を襲い、人々の生活様式や価値観が一変したあとの世界が舞台です。

ある日、主人公の秦遥人(はた はると)は、ひょんなことがきっかけでクラスメイトの夏木さんの口を見てしまいます。
そして、その代わりに秦の口も見せてほしいという夏木さんの発言から、二人でこっそり会ってはお互いの口を見せ合う、そんな奇妙な関係が始まります。

この作品の魅力は、その世界観に共感できること、そして自分がもしそこにいたら…、など想像力を掻き立てる描写が散りばめられているところにあります。

ソーシャルディスタンスを守らない生徒に行われる感染予防講習動画を視聴させる特別指導
グラビア雑誌を開いて、鼻と口が薄い布で覆われたお姉さんに興奮する男子生徒
他人のマスクを剥ぎ取る反マスク集団と、それを制圧する防疫隊

こんなシーンに出会うたび、「一歩間違えたらこんな世 界になっていたかもな」「こんな世界にならなくてよかったな…」と思わずにはいられません。

また、人と接触することをよしとしない環境で育ってきたからこそ、誰かと一緒に過ごす時間や触れ合いに喜びを感じ、人間関係を深めていく登場人物たちの姿を見ると心がキュッと締め付けられます。

もしかしたら、現実でありえたかもしれない世界のお話。
是非読んでみてください。

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