ある設計士の忌録(1)

工務店を営む“私”が仕事の上で時折出会う、安易に手出しできないブラック案件。そんなときに彼が頼るのは、不思議な力を持つ“先生”。その男は法外なギャラと引き換えに、磁場や霊力がうごめく様々な土地建物の秘密を解き明かしていく。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

暑い夏にぜひ読んでいただきたい、本当にあった住宅・物件にまつわる怖いお話。

物語は、東京で工務店を営む「私」、そして不思議な力を持つ設計士の「先生」を中心に進みます。
とある蔵の解体作業を行うことになった「私」は、蔵の中で謎の箱を目にしました。
不気味な雰囲気に恐ろしくなった「私」は、お祓いやお清めなど不思議な力を持つ「先生」に箱について相談します。
実際に箱を目前にした「先生」は、

「よく……こんなもん見っけたな」
「でもこれだけの箱は滅多にあるもんじゃねえぞ」

と不穏な言葉を残し、箱に向かって呪文を唱え始めるのです。
状況が理解できず立ち尽くす「私」でしたが、「先生」に促され中身を確認することに。

箱にぎっしりと詰まっていたのは、一族を繁栄させるために犠牲になった人々の…。


住宅にまつわる怖い話といえば、いわく付き物件や幽霊屋敷など連想しがちですが、本作のように建物の設計や解体などをメインとした怖い話は珍しいですよね。

本作では7つの建物のお話を取り扱っており、特に私のおすすめの話は神社を舞台とした
「二本の刀」です。
神社とい う神聖な舞台だからこそ、そこに巣食う謎の存在の恐ろしさが映え、不気味さが際立っています。

ホラーが好きな方にも、怖いけどちょっと気になる…!という方にも、ぜひおすすめしたい1冊です!

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