青色ピンポン(1)
その春、久々守秋人は高校入学を控えた15歳だった。 徐々に記憶を失っていく病におかされた秋人は、理心高校の2年生・夏目遥と、彼の身体に刻み込まれた“卓球”に出会った。 「美しいと思った」「どうしても欲しいものができた」…。だって、脳がすべてを失っても、肉体は“それ”を忘れない。だから、これは。 すべてを懸けるに値する出会いだった━━。
決して忘れ得ぬものを手に入れるため、初心者・秋人の挑戦がはじまる。
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その春、久々守秋人は高校入学を控えた15歳だった。 徐々に記憶を失っていく病におかされた秋人は、理心高校の2年生・夏目遥と、彼の身体に刻み込まれた“卓球”に出会った。 「美しいと思った」「どうしても欲しいものができた」…。だって、脳がすべてを失っても、肉体は“それ”を忘れない。だから、これは。 すべてを懸けるに値する出会いだった━━。 決して忘れ得ぬものを手に入れるため、初心者・秋人の挑戦がはじまる。 徐々に記憶を失っていく病におかされた少年・久々守秋人は、高校入学前に出会った夏目遥に憧れて、強豪・理心高校卓球部に入部した。練習は厳しかったが、秋人にはそれがなにより嬉しかった。軋む筋肉が、悲鳴をあげる肺が、拍動する心臓が教えてくれたから…『この身体はまだ、生きているのだと──』。そして始まった部内対抗戦、記憶に異変を感じ始めた秋人を魅入られたように見つめる影があった…。 -
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その春、久々守秋人は高校入学を控えた15歳だった。 徐々に記憶を失っていく病におかされた秋人は、理心高校の2年生・夏目遥と、彼の身体に刻み込まれた“卓球”に出会った。 「美しいと思った」「どうしても欲しいものができた」…。だって、脳がすべてを失っても、肉体は“それ”を忘れない。だから、これは。 すべてを懸けるに値する出会いだった━━。 決して忘れ得ぬものを手に入れるため、初心者・秋人の挑戦がはじまる。 徐々に記憶を失っていく病におかされた少年・久々守秋人は、強豪・理心高 校卓球部に入部した。部員それぞれの意地と誇りをかけた、一泊二日の部内対抗戦。実戦を重ね、飛躍的に伸びる実力に反比例するように、秋人の記憶には、ぬぐいようのな い霞がかかっていく。不安に砕け散りそうな心を抱えたまま、それでも秋人は“今を生きること”の意味を求め、あがき続ける。
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