偏屈小説家は恋に色づく3

寅井が奥さんと電話するのを聞いてしまった紀里谷は、寅井を避けるようになる。
庭は完成し、寅井は紀里谷の家を去るが――。


紀里谷耕介(きりや・こうすけ)は児童向けSF作品を執筆する小説家だ。
人間嫌いで人見知り。代表作は「うちゅうのぼうけん」。しかし最近はスランプが続き、何も書けていない。

そんな折、自宅に泥棒が入り、荒れ放題の庭に逃げ込まれてしまう。
それを機に紀里谷は庭師を雇うことにするが、現れたのはあご髭ロン毛にピアスのヤンキーみたいな男・寅井蘇鉄(とらい・そてつ)で、紀里谷がもっとも苦手とするタイプだった。
いつものように、寅井に対してそっけない態度を取ってしまう紀里谷。
しかし当の寅井はあっけらかんとした態度で、紀里谷を庭仕事に誘ったりしながら、偏屈な彼の心を溶かしていく――。

――こんな中年に、君…どうかしてる。

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