兎の森

弓永環は、人懐こくてよく笑う。

そんな環の笑う顔が好きだった志井洵太。

二人は1歳差の幼なじみ。

環が先に入学しても卒業していっても一緒に遊んだ。

小学校、中学校、高校――いつからか、それが少し変わっていった。

家の前で泣く環を見た時から、志井の何かが違っていった。

この気持ちは、清くない。正しくない。美しくない。

禁則事項がふえていく中、

高校生になった二人の関係は急速に変化していき…?

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

推しカプの幼少期から現在までをくまなく見守りたい、という全オタクの夢を叶えてくれる作品。推しカプの「初めてのちゅう」から性の芽生え、そして思春期や反抗期を経て、たくましく成長していく様子が、丁寧に丁寧に描かれています。

苑生先生自身が、そで部分のコメントで「2人の心情をできるだけ丁寧に描いていきたいと思います」と語っている通り、志井と環が子どもから青年になるまでの10年間が、本当に丹念に描かれています。環が笑っているような顔で志井の名前を呼ぶのが好きだったり、脚のストレッチをするときの体勢にドキリとしたり、環への気持ちを自覚済みだけど「友達」としてスキンシップをしてみたり――普通のBLマンガだったらカットされてしまっていたかもしれない何気ないシーンの積み重ねから、環に対する志井の切実な思いが浮かび上がってきます。この純情三白眼め……。
志井は環への偏愛を育みながらしたたかに成長し、環は清らかなまま性に対するトラウマをこじらせていく。2人が抱え込んだ秘密はどんな結末を迎えるのか、閉塞感と焦燥感と少しの希望が漂うムードにただただしびれてしまいます……!

環に美味しいごはんをお ごりたいサラリーマン・山野辺と松山(環のバイト先の寿司屋の常連)や、志井の初体験の相手で顔が環にちょっと似ているビッチなお兄さん・タクミなど、思わず気になってしまうサブキャラも登場。シリアスとコミカルを絶妙に行き来する本作ですが、最終的にはみんな笑顔でいてほしい。そう願わずにいられない魅力に溢れた作品です。

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