10DANCE(7)
別れたあともダンスを教えあう関係を続けていた鈴木と杉木。前に進むためについにその関係を終わりにしてしまう。鈴木はノーマンに、杉木はガブリエルに師事する。別々の道を歩み始めた2人。彼らを結ぶ糸はこのまま完全に断たれてしまうのか!? 切なくも愛おしい恋はゆっくりと変化していく‥‥。
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BL漫画であり、本格競技ダンス漫画でもある本作。その魅力について本気で語ろうとすると一晩でも足りないため、未読の方へのおすすめポイントを2つに絞って紹介します。
1つ目は、井上佐藤先生の写実的かつ華麗なタッチで描かれる、競技ダンスの美しさと迫力。ともに日本一の称号を持つ主人公の杉木と鈴木が、互いの専門を教え合うためにペアを組んで踊るのですが、そのダイナミックな美しさはため息もの……。最初こそ、コミカルな描写が目立ちますが、雪の降る公園で手を取り合ってダンスをする、まるで映画のようにロマンティックなワンシーンも。杉木の「僕ならあなたの好きにして構いません」「ただし大事に扱ってください」という決め台詞で昇天必至です。
2つ目はダンスを通して揺れ動く2人の心。2人とも基本的に異性愛者ですが、誰よりも互いの才能に惚れ込み、同じくらい競技ダンスに心血を注げる相手に出会ったことで、ライバル心が友情に、そして友情が恋に似た感情へと育っていきます。しかし、この感情を容易く「恋愛」と規定しないのも本作の萌えどころ。クソでか感情の矢印は確実に互いのほうを向いているのに、「プロダンサー」としての 理性が、感情を名付けることを避けるのです。多くのBL作品は相思相愛の状態が物語の終着点になりますが、本作では一体どうなるのか……。展開の読めなさもBLファンを虜にする一因ではないでしょうか。
巻を重ねるごとにゆっくりと、しかし着実に盛り上がりを見せる『10DANCE』。世界トップクラスの大会を舞台にダンスは優雅さと迫力を増し、ステージが大きくなるほどに杉木と鈴木の関係は複雑さを増していきます。BLを嗜みながら本作を読まないのは、あえて「人生の半分損している」と言ってしまいたい。半ば脅すくらいの勢いで未読の人を沼に引きずり込みたい。絶対に後悔させませんので、まず1巻だけでも手にとってみていただきたい次第であります!
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