遠い夏の風景~つげ忠男昭和選集4~
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「ガロ」にて多く漫画を発表。コアなファンを持つ伝説の作家による短編集。全体に漂う重く、しかし静謐な空気感が心に深く沁みる。――引っ越しをした僕は、近くに「きなこ屋」との看板を掲げた駄菓子屋を見つける。店の前にはいつもばあさんがいて、やがて僕とばあさんは顔見知りになった。人から聞いた話では、店は元はといえばきなこ菓子を売っていたそうなのだが、時代の流れについていけなくなったとかで…。(表題作「きなこ屋のばあさん」より)。他、「ある彫像」、「むし」、「昭和御詠歌」、「捜索」、「河童の居る川」を収録。 -
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肌に密着するような生々しい現実感と幻想世界。精神にダイレクトに伝わる空気で戦後日本社会で生活し葛藤する心、風景、人生を深く静かに描くカルト漫画家による作品集。――京成線T駅を中心に周囲二00米程のはんか街を、殊に取囲む様に小さな工場がある。柄の悪い連中が屯ろする街。そこで初老の中年と青年の二人は…(「雨季(一)」より)。他、「雨季(二)」「雨季(完)」「二人三脚」「或る風景」「カマの底」を収録。 -
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暑い夏、息子の浩一と他愛無い話をしていた中、浩一から父さんのように立派になりたいと正面から言われ、草むしりを口実に席を離れてしまう。胃が気になって出社前に寄った病院ではあまり神経質になるなと言われ、会社では夏季休暇をとることを進言された。そんなとき、道でぶつかった事をきっかけに知り合った女性と奇妙な関係になり草むらで痴漢を演じだす…。独特の描写で中年男の言葉に出来ない閉塞感がじわじわと伝わる つげ忠男の名作選。 -
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生活、人生、心を、深く静かに、リアルに描き続けて来たカルト漫画家による作品集。――蝉の声が弱々しくなって来た夏の終わり頃、初老の男が妻を散歩に誘う。行き先は、彼が気に入り、大切にしている場所だった。妻は不思議に感じていた。長年連れ添って来て、散歩に誘われる事などなかったからだ。彼女は(ああ、これで終わる……)と思った。何が終わるというのか…。(表題作「遠い夏の風景」より)。他、「アスファルト舗装」、「100キロ重量」、「潮騒」、「熱風 其の一」、「熱風 其の二」、「スランプのころ」、「カラスかんざぶろう」を収録。 -
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作品から漂う静けさ、哀しみ。釣り人や漫画家、会社員等、生活者の日常を独特の感性で描き出した短篇集。――とある中年サラリーマンが、世の中に不満を持っていた。空き缶をポイ捨てする人もいるし、信号無視をする人もいる。家では息子や娘が生意気になり、テレビを点けても下らない番組しかやっていない。寝床に入れば明日の仕事の事が心に重く感じられ…。(表題作「ある予感」より)。他、「釣り師熱唱」、「ラストワン」、「シンプルライフ」、「真夜中の遊戯」、「懺悔の宿」、「海女の季節」を収録。
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