狼の伝説~つげ忠男アウトロー選集4~
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「狭い路地が無数にあり、露地には怪しげな家が建ち並び…小便くさい…」そんな、元は赤線だった名残が今でもそこここに漂う街を舞台に、まともな仕事に就けないチンピラや売春婦、低賃金にあえぐ工員など、底辺から抜け出せない男と女の絶望的な日々を描いた短編集。兄である劇画作家・つげ義春とならんで「劇画の名手」と称されたつげ忠男が1960年代後半から70年代に雑誌『ガロ』に発表した「懐かしのメロデイ」「青岸良吉の敗走」「どぶ街(一)(二)」 「与太」の4作を収録。 -
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製薬会社の工場で働く「僕」は、その仕事を引き受けたのことを後悔していた。もちろん話は先に聞いてはいたのだが…それは、毎日運び込まれてくる胎盤を包丁で切り、金網と重しで血を絞るという、凄惨なものだった。同僚の尾瀬も、流石にこの仕事には呆然としていた。特別手当がつくということで名乗り出てはみたものの…(表題作「無頼の街・残菊編」より)哀愁に包まれながらもどこか優しい視線で、這いずり回る男たちの苛烈な生を描く、劇画の名手・つげ忠男の傑作短編集! -
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ある日一人の男が、川の土手にしゃがみ込み、草の穂の踊りをニ、三時間も眺めてから、得体の知れないその海のような土地にのろのろと踏み入った……別に目的があるわけではなかった……仕方なく…ただ仕方なく、ウソウソと歩きまわるしかなかった人々が、昭和二十四、五年頃にはあふれる程居たのである。男はどこからか集めてきたガラクタを積み上げ…家を作った。ヤケクソで這い出てきたキノコのような感じの家だった…(表題作「無頼平野」より)哀愁に包まれながらもどこか優しい視線で、這いずり回る男たちの苛烈な生を描く、劇画の名手・つげ忠男の傑作短編集! -
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夜。男が一人、うらぶれた街角で雨宿りをしていた。タバコに火をつける。ふと、いつからそこに居たのか、サングラスを掛けた老人が「火、貸して貰えんかね」と声をかけてきた。無言で並び、タバコをくゆらす二人だったが、男ははたと気づいた。そのサングラスの老人は、かつてこの街で名を轟かした「特攻サブ」その人だ、ということを。胸をざわつかせる男だったが、どうしてもそのことを老人に問いただすことが出来ない。ただ、雨が闇夜を濡らすばかりで…(表題作「狼の伝説」より)哀愁に包まれながらもどこか優しい視線で、這いずり回る男たちの苛烈な生を描く、劇画の名手・つげ忠男の傑作短編集! -
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不如意にも拘らず、プロレス雑誌の編集を引き受けてしまった男。仕事の手始めとして、時間の許す限り試合を見て廻るうち、リングに登場しただけでそのレスラーの力量が推し量れるくらいになる。一流レスラーの筋肉には一種殺気のようなものが感じられる。他にも次々と登場する男たちが様々なスタイルのレスリングを繰り広げる様に、子供の頃のベニヤ張りのマーケットや路地裏に通じる雰囲気を感じ、腰を押し付けるのも悪く無いと感じる男は、スターを作ろうと思い付き……?(表題作「流れ者たち」より)哀愁に包まれながらもどこか優しい視線で、這いずり回る男たちの苛烈な生を描く、劇画の名手・つげ忠男の傑作短編集!
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