204-light of room 204- 9
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雨の日は、きらい。おにいちゃんとふたりだけになっちゃった、あの日も雨だったから。大好きだったパパとママが死んで、おにいちゃんは頑張って入った高校を、あっさり辞めてしまった。私を一人で施設に行かせないために、働くために…。そして私とおにいちゃんは、おにいちゃんのお友達の藤尾さんが世話してくれたアパートの204号室に住むことになった。藤尾さんはお父さんが地主さんで、お金持ちで、とても優しい人…。実は密かに憧れていたので、おにいちゃんから仕事で遅くなると連絡があった雨の日の夜、藤尾さんが突然やってきた時はびっくりしたけど嬉しかった。でも…まさかあんなことされるなんて…。やっぱり雨の日は、きらい――。 -
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あの雨の日から一週間、あの日のことはおにいちゃんにはゆってない。いえるわけない――。でも藤尾さんから持たされたケータイには、「今日20時 204」という短いメールが…。204号室は私たちが藤尾さんから借りた203号室の隣の空き部屋。おにいちゃんが仕事でいない時間、そこに呼び出されて、される事は――… -
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204号室はうちの隣の角部屋で、ドアのポストにはいつもチラシが溢れていました。藤尾さんは、わーっとお話ししてくれたかと思うと、一言も話さないでただじっとしている事もあって――…でもやっぱり、この部屋に呼び出されてする事は一つでした。そして今日も、おにいちゃんが仕事でいない時間を見計らって私は藤尾さんに呼び出されていました。そしたら、まだ仕事中の筈のおにいちゃんが急に帰って来て… -
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彼女のサキから最近藤尾が学校に来ていないと聞いた。気になる…けど、正直今日は俺も久々の休みで、学校で会えなくなったサキとの貴重なデートの時間…藤尾のことは今は考えられない。溜まっている物…出させて…。 -
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あの後…具合良くなったかな。あんな…なんにもない部屋で、1人でどうしているのかな…。私…藤尾さんのことなんにも知らない…。藤尾さんのことをずっと考えていたら、久しぶりに呼び出しがあった。でも今回は204号室じゃなくて、外…。夜の公園に、裸にコート一枚だけ羽織って来いって…。こんなことダメなのに、私…藤尾さんのことを考えると、他になんにも考えられなくなっちゃうの…。 -
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藤尾さんに公園に呼び出されたあの日以来、おにいちゃんのカノジョのさきちゃんが時々遊びに来てくれるようになって、藤尾さんから204号室に呼び出されても行けなくなってしまいました。藤尾さんに…会いたい。 -
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さきちゃんに204号室の事が知られてしまった。藤尾さんはさきちゃんを襲って…。私は、嫌だった。さきちゃんが傷付く事よりも、私は、藤尾さんが…。 -
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突然、兄貴が訪ねて来た。一体、何の用で…。「…この間、事故で親亡くしたお前の友達いたろ。さっきその兄妹の、妹の方見て来た」「親父に似てたらどうしようかと思ったけどなァ」どういう…意味だ?何を言っている…? -
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慶太は昔から自分にない物を全部持っていて、小さかった俺にはそれが単純に眩しくて羨ましくて、誇らしかった。俺はただ、慶太が――…。 -
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俺はただ、メチャクチャにしてやりたかった。どんな暗闇の中でも離さずにいてくれる手に支えられて立ってる慶太が、ただ、羨ましい――。それだけの為に俺は、あいつに、酷い事をした。…なのに、なんで、俺を許すんだ――…。 -
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藤尾さんは、もうここへはきっと来ない。204号室も埋まって、これまでのことが夢だったような気がしてくる。それでも、藤尾さん…。ひどいことをされても、気まぐれにふりまわされても、私のことを好きでもなんでもなくても、それでも私は…私は…それでも――…
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