その火はきえない(4)

「あんたも俺と同じで『こっち側』だから、この手をつかんだんじゃないの?」自分を「ふつう」だと思いたいサラリーマンの宮澤秋は、ひょんなことから出会ったゲイの桧山瑛二と、借りたタクシー代をタバコで返す関係に。「ふつう」のはずなのに、瑛二とキスをしたり抱き合ったりすることに居心地の良さを感じる秋。こんなのまるで付き合ってるみたいだ、そんなんじゃないのに――。過去への罪悪感と、自分と瑛二の気持ちへの嘘が、まるでタバコの煙のように纏わりついて…。お金から始まった関係が、恋と未来に柔らかく火を灯す。苦くて甘い、大人のセンシティブ・ラブ。

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