イズァローン伝説
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これは人びとと自然とが、まだ分かたれないころの物語。樹海に覆われしイズァローン王国にはふたりの王の子がいた。現王の子アル・ティオキアと、亡き兄王の子ルキシュ――幼少期を両性体(プロトタイプ)で過ごすというこの国の子どもの特質により、王子でもなく王女でもないまま、きょうだいのように仲良く育っていったふたりであったが、時がたち、ひとり――ルキシュが王子となっても、もうひとり――ティオキアは両性体のままであったことにより、次期王位をめぐる周りの人々によってふたりの仲は切りはなされていった。その中、ティオキアはイズァローン王の命により人質として隣国へ送られることになる――!! -
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イシュカに人質として送られたティオキアの消息が途絶えたイズァローンではティオキア・ルキシュ両派の対立が徐々に深まっていた。次代の王ともてはやされるなか、ルキシュは苛立ち、もの思いにふける。一方、ティオキアはイズァローンより北に位置するアシキスニに、王子の称号をかくして身を寄せていた。イズァローンにいた頃とは異なる、ふたつの――陽気で大胆な少年と、以前にもましてはかなげな少女のような――人格を伴って。 -
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「知覚の扉」の向こうに隠されていた秘密にティオキアが触れたとき、闇が広がり、魔物たちが解き放たれた。地の底から放たれた魔物たちは、森を越え山を越えてその影響を及ぼさんと駆けめぐる。おさない「悪」しか知らぬ人間たちの心に本物の「憎悪」と「悲惨」を植えつけるために。変化が訪れる――ルキシュに、ティオキアに、世界に――。 -
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日に日に強まってゆく自身の“魔”の力に苦悩するティオキア。カウスは問う、なぜ彼でなければならないのかと。導師は答える、選ばれ、魔物を世界にはなった彼こそが、放っただけのことをせねばならないのだと。一方、アシキスニの国でティオキアが荒地(マキュロス)へ向かったという噂を聞き、後を追っていた両性体の戦士・ユーディカと弟タズトであったが――!? -
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王妃・フレイア、17歳の誕生日に賑わうイズァローン王国。明るい祝福の声の影で、結婚から1年たっても世継が生まれないこと対する疑惑が囁かれていることを察したフレイアは、内紛を避けるため、王直属親衛隊を選抜するための御前試合を開催して人々の関心を逸らすよう進言する。その御前試合にかつて恋仲であった――いまなお恋しい――アスナベルが馳せ参じるとは、知るべくもなく……。 -
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アシキスニで地底より魔を放ち、各地に散った“魔王”の護身具を集め、いままた魔王として魔を押さえ込むティオキアは次第に民から“救世主”と崇められるようになる。その頃、新帝国建設が着々と進むイズァローンでは、王妃フレイアをめぐりルキシュ王の王騎士アスナベルに対する信頼感に歪みが生じ始めていた――。 -
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その存在が各国に広まった救世主ティオキアを一目見るため、厳刑も恐れず国境を超える民がめだちはじめていた。一方、ルキシュの命により救世主の調査に向かったアスナベルは、ティオキアが民に差し伸べる救いが悪しき行為にしかなり得ないと判じ、彼に残酷な言葉を告げる。 -
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たったひとり、魔と相対するために造られた――。金の谷で、ティオキアはついに自分自身の内にある真実へと辿り着いた。あまりにも残酷な運命……だが、そこから逃れる術はない。それは、ガラテアの記憶を継ぎ大教母となったフレイアも同様であった。――決断の時が迫る!! -
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ひとめルキシュに会いたい――イズァローン領内へと入ったティオキアは、各地で過酷な労働にあえぐ民の不満を吸収しながら歩みを進めていた。一方、ティオキアにかけられた魔をはらうため“ゲドの魔薬”を求めていたアスナベルは、ついに魔術師ゼーダが棲むという砦に辿り着く。そして、アスナベルの内部に触れ“魔王”の出現を知ったゼーダは歓喜の声をあげた――。 -
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ティオキアを次代の王に――そう記された前王の遺言。自分ではなく、アスナベルを愛しているフレイア。ルキシュの目に映るそれらが、心を黒く覆っていた。一方、商人の一行に紛れイズァローン市を目指すティオキアにも変化が訪れていた。自身のなかにある“魔王”の存在と真っ向から向き合い、そして……!! -
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目前に迫る、イズァローン城――ティオキアのもとには彼を救世主と、指導者と信奉する多くの民が集っていた。その規模は、一つの村かと見まごう程に膨れ上がり、更にはイズァローンの民をも吸い寄せているかのように見えた。そのことがルキシュ王に対する謀反であると見なされ、ティオキアは捕らえられてしまう。ついに対面するルキシュとティオキア。ルキシュの心は木の葉のように揺れた。 -
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訪れる、人と魔の戦いのとき。運命によって分かたれたふたりの王の子、ティオキアとルキシュ――イズァローンにて再び交わったふたりは何を選び、何を為すのか。ヒロイック・ファンタジー巨篇、堂々の完結!
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