聲の形(7)
「じゃーな、西宮(にしみや)」。硝子(しょうこ)を庇って大けがを負い、眠り続ける将也(しょうや)。前を向くと決めた硝子は、絶望の中、壊してしまったものを取り戻そうと動き出す。バラバラになった仲間たちの「こえ」にそっと耳を澄ませる――。繋がる想い。そして、再開した映画作り。時を刻み始めた彼らの世界に、待ち受ける未来は――。
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あなたは何のためにマンガを読むだろうか。娯楽?暇つぶし?感動したい?
それらを求めている人には、このマンガは不向きだ。
退屈を嫌う主人公・将也が、聴覚障害を持つヒロイン・硝子をいじめるところから物語は始まる。「障害といじめ」という、少年誌にしてはディープなテーマを描いているが、「いじめる側」と「いじめられる側」は固定化されず、あるきっかけで逆転する。いじめられて初めて、将也は自分のあやまちと、硝子の強さに気付く。
この話に説教臭さはない。むしろ淡々と2人と周囲の関係が描かれ、第2巻で少しずつ将也の変化が見えてきたところだ。「障害者にも分け隔てなく」と、声高に叫ぶでもなく、泣くでもなく、無理に感動を誘うわけでもない。「さあ、どうする」と、読みながら宿題を出されている気分になる。
元となった読切版は、かつて新人賞を受賞したものの、その内容のために掲載が見送られてきました。しかし『別冊少年マガジン』に掲載されるやいなや、その号の読者アンケートで『進撃の巨人』や『惡の華』を抑えて1位になったというから、この作品の影響力がいかほどか分かります。
私は読切版を読んだ時に、久々 にいい作家に出会ったと感じました。それだけに、連載版を今後も大切に描いてほしいと、切に願っています。(書店員・鮭)
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