言葉には、呪いをかける力も解く力もある。
「星影」新人賞で大賞を獲り、
デビューすることになった黒田。
大賞受賞者が2人という
異例の状況に戸惑いつつも、
黒田はその喜びを噛みしめていた。
しかし、同時受賞した作家・水貴翠から、
デビュー作の売り上げで勝負を挑まれてしまう。
売り上げが全てではないと
考えている黒田だったが、
水貴の度重なる挑発に、
「負けたくない」という気持ちが
沸々と音を立てて大きくなっていき―――
「星影」新人賞で大賞を獲り、
デビューすることになった黒田。
大賞受賞者が2人という
異例の状況に戸惑いつつも、
黒田はその喜びを噛みしめていた。
しかし、同時受賞した作家・水貴翠から、
デビュー作の売り上げで勝負を挑まれてしまう。
売り上げが全てではないと
考えている黒田だったが、
水貴の度重なる挑発に、
「負けたくない」という気持ちが
沸々と音を立てて大きくなっていき―――
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自分には才能がない。そう思って諦めてしまったことはありますか?
アラサー会社員の黒田マコトは順風満帆な生活を送っていましたが、ある日突然糸が切れたように会社に行けなくなってしまいます。そんなとき、大学時代の文芸部の後輩にして今をときめく売れっ子小説家の黄泉野季郎と再会し、流されるようにまた小説を書くことに。
世間一般では、「書くこと」は会社に行けない現実から目を背けて逃げるための、さらなる闇に落ちていく行為なのかもしれません。書いたとしてそれが何になるかなんてわからない、お先真っ暗な道。しかし、黒田にとって「書くこと」は、どうしようもない自分に残されたたった一つの光でもあります。そんな「光」と「闇」の表現が、本作はとても秀逸でした。プライドをかなぐり捨てて夢中で小説に向き合い始めた黒田の鬼気迫る様子は思わず息を呑むほどで、あのころ捨ててしまった「何か」へのまだ諦められずにいる執着心を思い出させてくれます。
大人になってしまっても、まだなんだってできる。本作を読むと、自分にしかできない「何か」を無性に探したくなってしまうことでしょう。
日々の生活に忙殺されている大人の読者の方にお すすめしたい作品です!
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