聴けない夜は亡い 1巻
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深夜0時。通夜と告別式の合間、街の明かりが消える時間。大切な人を喪った依頼者の話を聞く青年・槙柊夜。朝起きると夜の記憶を忘れてしまう彼は、“聴き屋”として通夜の間に話を聞き、告別式の朝までに依頼を遂行する。今日もまた“想い”を抱えた依頼者が彼の元を訪れる。“死”を聴いて生きていく青年と残された人たちが立ち上がり、再び前を向く、そのドラマ――。 -
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夜の記憶を忘れてしまう孤独な青年・槙柊夜。大切な人を喪った依頼者の話を聞く“聴き屋”として、彼は今日もまた、死を聴いて生きる――。夜しか動けない女性と彼女が出会った少年。売れない漫画家とその担当編集者。そして亡くなった丹羽の妹・実花と、彼女の最期を思い出せない柊夜。皆が行き場のない想いを抱えながら、それを受け止め、次の一歩を踏み出していく――。 -
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あの夜を取り戻したい--。丹羽との最後の夜の記憶が戻ることを願いながら、“聴き屋”として大切な人を喪った依頼者の話を聴く柊夜。「あなたが今夜を忘れてしまうのは誤算でした」夜の記憶を忘れてしまう柊夜が依頼人に言われた一言。そこから柊夜は再び夜と向き合い、動き始める。そして蘇る衝撃的なワンシーン。語られる物語を聴きながら、少しずつあの夜へと近づいていく--。 -
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あの夜を取り戻すため、少しずつ前に進み始めた柊夜。一方、未だ記憶が戻らぬその姿にイラ立ちを覚える壱。そんなある日、壱は高校時代の親友・道永と出会い、特別に「聴き屋」のオプションを依頼される。彼の語った妹との話…それは少しずつ壱の心の奥底にある闇を引きずり出していくのであった――。壱と丹羽、そしてあの夜、語られる真実。
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葬儀屋の「通夜オプション」としてお通夜の間に話を聴く「聴き屋」として働く「夜」こと槙柊夜。
彼は目覚めると夜の記憶を忘れてしまうのです。
葬儀屋の物語と言えば、死者の声を聴く『ようこそ亡霊葬儀屋さん』がありますが、
こちらは霊ではなく残された生者の声を聴き、その人の気持ちの整理をするキッカケを作ってくれます.
『覆面系ノイズ』や『悩殺ジャンキー』の福山リョウコ先生が少女マンガ誌から飛び出し、ヤングアニマルZEROで連載をしている今作。
ご本人曰く「生まれて初めて、進むために描いた漫画」ということですが、物語に出てくるどの依頼者も死者との間にあった後悔や未練を自分が先に進むために昇華しており、読んでいる側も前向きになることができます。
死んだ父と残された娘の思い、
友人の突然の死に言えなかった思いを抱く青年など。
どの物語も、切ないながらも前向きになれます。
依頼者ごとにオムニバス形式で物語が進んでいきますが、1巻の後半から柊夜が何故「夜」として「聴き屋」を営むことになったかが描かれます。
キッカケは、葬儀がない日に依頼をしてくる「常連」神さんとの 夜でした。
神さんは「きみが全部忘れてくれるから話しやすい」と言います。
確かに見知った人には言えなくても、赤の他人、しかも朝には忘れてしまう人が相手なら話しやすいでしょう。
自分ひとりで抱えられない思いを、吐き出せたのならどれだけ楽になるか。
きっと神さんも初回はそれで救われたのかもしれません。
しかし、彼はリピーター。自分の話を聴いてもらうのではなく「きみの話を聴かせてくれ」と頼むのです。
そして最後にこう言うのです。
「自分より凄惨な別れを聴くと救われるから」
全体的に摩訶不思議でほろりと泣ける心温まる物語かと思いきや、自分の隠している確信をついてくるこのセリフにハっとしました。
残酷な一言ですが、世の中には自分より不幸な話を聴く事で自分はまだマシだ。と思うことはあります。
とてもエゴイスティックなことですが、それで救われる人がいるのも事実です。
柊夜に一体何が起きたのか。
彼が夜を思い出せる日は来るのか!?
不定期連載なのでスローペースでの刊行になるとのことですが、楽しみに次巻を待ちます!!
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