”本を宿す者”という意味のマータラたちは、高い壁の内側の亜3B棟で起居をともにする。彼らは胸の中に「浮力の本」を埋め込まれている。 悪事を働いたり不道徳な行いをしたり考えたりすると、その行状が体内の本に魔術的な力で自動筆記される。また記述が増え最後のページまで文字が埋まると、浮力を得て宙に浮く。そして、二度と地に足を着けることはない。これは”最後のページが終わる”と表現される。偶然に浮力を得たが生還した弥鳥コドリは、参留レーヌと名乗る老人と出会う。
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本をテーマの中心とした幻想漫画集 不思議なドリップコーヒーは、「ありがとう」や「さようなら」などパッケージに書かれた言葉の感情を喚起する。--「言葉の珈琲」 叔父は読書をしに月へ旅行するらしい。--「月の読書」 グドュグドュという得たいの知れないものがいる。真っ黒で服は着ておらず、その黒色を見ると、数字がオーバーフローしている印象を受ける。--「グドュグドュ」 模写したページを川に流す行事があり、頁流転と呼ばれている。--「ページの船」 海の方から本の匂いがする。砥生海町の住人たちは万が一に備え避難を始める--「書雨」 他収録作「五本の絵筆」「文字菜」「白千布」「鰐の起立」「高速道路」「オレンジの本」「リビングの本」「文字の涙」
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幻想集
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黒谷知也
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