かさねと昴(5)

おもちゃの企画開発会社でグラフィックデザイナーをしている柴田かさね(しばたかさね)は、あることで悩んでいた。悩みの発端は、思いがけない事故で同僚の榎田昴(えのきだすばる)のお尻を触ってしまったこと…! 榎田のお尻の感触が、かさねの大好きなキャラクターの着ぐるみの感触と似ていて興味を持った。けれど、それと同時に、榎田に嫌な思いをさせてしまったんじゃないかという罪悪感が拭えない。榎田は「気にしてない」と言ったけれど、その表情はどこか怯えて苦しそうで…。もっと、きちんと謝らなければ!と強く思うかさね。一方で、榎田にはある隠し事があって――。

5巻では、二人の生活環境が一変し、それぞれの人生が動き始め…物語はクライマックスを迎えます。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

子供向けおもちゃの企画開発会社でグラフィックデザイナーとして働く柴田かさね(しばたかさね)。
偶然同僚の榎田昴(えのきだすばる)のお尻を触ってしまってから彼のことが気になって仕方ありません。
榎田にお尻を触ってしまったことを謝るかさねですが、榎田の様子はどこか変で…。
実は彼には人に秘密にしていたことが…!!
真摯に謝ってくるかさねの姿に覚悟を決め、実は自分が趣味で女装をしている“女装男子”であり、あの日は布面積が少ない下着をつけていたためそれがバレたのでは…と焦ったためと告白するのです。

身長180cm以上ある女装姿の榎田を見ても一切引くことがないかさね。
首筋が綺麗と褒めたり、彼のありのままをそのまま受け止める彼女の姿は、“多様性”迷子に陥りかけている現代の理想像かもしれません。
恐らくかさねの中には榎田の女装を馬鹿にする人がいるなんて考えは存在しなかったのでしょう。
だからこそ女装姿の榎田と二人で街を歩いた時に知らない人から浴びせられる興味本位の視線や隠し撮りしようとする人を見た時のショックは計り知れなかったと思います。
ですがかさねがそうだったからこそ、榎 田は救われたのだと思います。
自分のことを大切にし尊重してくれる存在ほど救いはないのではないでしょうか。

ありのままの自分を受け入れる。
ありのままの自分を貫く。
ありのままの相手を受け入れる。
それって簡単そうに見えて、とても難しいことだと思います。
この物語の主人公ふたりは一見どこにでもいそうなキャラクターです。
だからこそ、かさねと榎田のお互いがお互いを大切にしようとしている姿は読んでいるこちらも応援したくなりますし、お互いが理解しようと少しずつ歩み寄る姿は理想のカップルのようにも思えます。
二人に幸せになって欲しいと願いながら読み進めたくなる作品です。

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