ワンルーム、ループルーズ

職場と家の往復で、やりがいのない日々を過ごす高校教師の涼太は、酔った弾みでバーで働くヒロトをお持ち帰りしてしまう。そのことをきっかけにヒロトとの同棲が始まった。すると、寝て起きるだけだった部屋が涼太にとって安心できる場所になり、いつしかヒロトにも一緒にいるこの時間を楽しいと思ってもらいたい、と感じるように。しかし、涼太はヒロトに対し、それだけじゃない初めての感情も芽生えていて――…。社会に馴染めない二人のダメなところも愛おしい日々。

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スタッフおすすめレビュー

※ネタバレを含む場合がありますのでご注意下さい

社会に出てみたら、うまくいかないことが続いていやになっちゃうこともありますよね…。
教師の雨谷(あまがい)涼太は生徒にも受けが悪く、同僚とも馬が合わない。
つまらない日常にも、ダメな自分にも嫌気がさして、なんとなく帰りたくない気分。
そんな夜に初めて訪れたバー。そこで出会ったのがヒロトでした。
酔った涼太はヒロトを自宅に招き入れ、ずっと一緒にいて欲しいと頼む―――。

ヒロトは甘やかし上手で家事上手。
部屋も掃除してくれるし、作ってくれるご飯もおいしい。
酔った勢いで始まった関係のはずが、マメで世話焼きなヒロトと生活するうちに涼太はこの暮らしが心地よくなってゆく。

ただ、この暮らしはなんだかこう、儚いんですよね。
食卓に並ぶ料理が涼太の好きなものになってきたり、生活サイクルも把握できてきたり、ふたりの仲は深まっているように見えるのに、心の距離はあるポイントから進んでいない。
ふたりはお互いが好きで、一緒に居られて幸せなはずなのに、干渉を恐れて踏み込むことができない…。

なんてことなくて、しかしかけがえのないこの毎日を留めておく方法を知らないんだ…。
ういうふたりなんだ…。
執着がないというか、できないというか…!ああ、背中を押してやりたい!でも押しちゃったらダメになっちゃうんだろうな!

ふたりが一緒にいられる方法は、彼ら自身が見つけるしかないのだ…。
見守りがいのあるカップルですよ。みなさんもいかがですか。

個人的には環山先生の書き文字が好きです。
するりと抜けるような素敵な筆跡です。
作品の雰囲気にマッチしていてとても良かったです。ここにも注目。

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