あそこ匂ひ香りたつ…分冊版10
梅樹家は「香道」で使われる香木を代々商ってきた家柄だ。「特定の香りが特定の生き物を魅了する…」「良い香りばかりがそれとは限らない」と母は言った。そしてかおりに「あなたも立派に『梅樹』の女なのね」とも。としあきの体臭は亡き夫、かおりの父親と同じ臭いなのだった。「あの娘もいい人見つけたわぁ」「これで赤ちゃん出来たら我が家も安泰だわ…」とさえ。でも母親には懸念することがあった。“たちばな”クンである。「かおりちゃんに好意持ってくれるのはうれしいけれど…」「としあき君がいるからちょっとお呼びじゃないのよ」そこで母がとった行動は…。
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